足尾の産業遺産 ~廃墟感漂う橋梁・煙突・建造物

足尾地域はかつて銅の産地として栄えました。現在では当時の繁栄を感じることができる産業遺産が幾つも残されており、時の流れを感じながら写真撮影を楽しむことができます。

足尾地域撮影ルート

足尾地域の撮影ポイントはわたらせ鉄道「足尾駅」の北側にある、「間瀬駅」から銅親水公園(松木渓谷)と、「足尾駅」手前の庚申川沿いの2ルートに点在しています。
1.銅親水公園ルート
2.庚申川ルート
の順に撮影ポイントを紹介していきます。

まずは、銅親水公園ルートです。群馬の桐生市・みどり市側から国道122号を北上し日光方面に向かっていくと、足尾駅を過ぎたあたりに「田元」という交差点があります。ここを左折して銅親水公園(松木渓谷)に向かいます。

わたらせ渓谷線廃線跡

[ 廃線風景 ]  道路わきに線路と橋が突然出現します。足尾は産業遺産を探しながら旅をする楽しさがあります。

国道122号から県道250号に入り「銅(あかがね)親水公園」へ向かう途中、左側に突然線路が現れる場所があります。
わたらせ渓谷線は間藤駅から先は廃線区間になっており、まだ当時の線路などが残っているところがあります。

[ 鉱山で栄えた町 ]  かつては日本の銅生産の拠点だった足尾。今では産業遺産が残され、静かな時が流れています。

鉄橋へ向かう線路と無造作に積まれたレール

[ 鉄橋と石橋の交差 ]  時間が止まったような空間。かつては多くの人がこの場所を行き来したことでしょう。

上記の線路の右側には石造りの橋と廃線の鉄橋があります。入口には立ち入り禁止のフェンスがあるので、フェンス越しの撮影になります。

[ 古川橋 ]

産業遺産のひとつ古河橋付近は、銅親水公園への分岐になっています。

[ 古川橋 ]

銀山平までは道の狭い道路になっており、途中には被写体となるものはありませんでした。銀山平から国道122号に下る途中の「庚申川」は見所がありました。庚申川へはこちらから行くと遠いので一度国道に戻り、別の道から川沿いに上っていったほうが良いです。
写真の右側に見えるのが古河橋です。

[ 古川橋前ロータリー ]  古河橋前はロータリーになっており、公衆トイレが整備されています。

ロータリーと公衆トイレ。

古河橋

[ 古河橋案内板 ]  足尾の産業遺産のひとつになっている貴重な橋。

古河橋は明治中期までに架設された道路用鉄橋として、現位置に現存する極めて貴重な橋で、足尾銅山の誇れる産業遺産である。

足尾銅山では明治18年(1885)古河橋の前身である木造の「直利橋」が、同20年4月の大火で焼失したので鉄の橋を架設することとした。

「古河橋」はドイツ・ハーコート社製で、同23年6月架設工事に着手した。

橋台は瓦精工法で、次いで鋼構造部材の組み立てのための足場が完了したが、8月22日に松木川が大洪水となり足場は一部を残し流失したので再構築し、10月26日に鋼材の組み立てに着手し、12月28日に竣工させるという突貫工事であった。

以上、案内板より

[ 歴史遺産の橋 ]  錆びた鉄が味わい深い古河橋。背後には本山精錬所跡があり、かつての足尾の繁栄を感じることができます。

古河橋と本山精錬所跡
古河橋は現在左側に新しい橋が作られており、こちらの古い橋は渡ることができません。
撮影は橋の入口のこの場所か、新しい橋から古い橋を見る形になります。

旧本山精錬所

[ 3つの寂れたタンク ]  本山精錬所跡の3つのタンク。タンク下には駅のホームのような建物が見えます。

本山精錬所跡の3つのタンク。
タンクの下には駅のホームのような建物が見えます。銅山が栄えたころはここから荷物を運び出していたのでしょう。

[ 精錬所 ]

本山精錬所跡。
屋根や壁が剥がれ落ちてきていて、廃墟感ある建物になっています。足尾地区の産業遺産の中でも最も規模が大きな建物だと思います。

[ 精錬所 ]

建物とホーム
本山精錬所は建物とホームが隣接していたようで、右側にはホームが見えます。

大煙突

[ 古川橋付近から見た大煙突 ]  足尾の象徴ともなっている大煙突。足尾の歴史を後世に伝える重要な建築物です。

足尾のシンボルのひとつになっている大煙突。
古河橋から銅親水公園に行く途中の道路、銅親水公園内から見ることができます。
道路は川の右側にあるので、大煙突に近づいて撮影することはできません。

[ 銅親水公園から見た大煙突 ]  銅親水公園からは山の谷にそびえる大煙突の姿が。

こちらは銅親水公園から望遠レンズで撮影しています。
山の稜線は入れずに煙突を強調して撮影しました。

[ 大煙突 ]

少し引いて見ると、奥は山の稜線が見えるようになります。
晴れた青空の日などは、山の稜線まで入れた風景写真にするのも良いと思います。

足尾堤防

[ 足尾堤防 ]

古河橋から銅親水公園に向かう途中、足尾の堤防が見えてきます。何段にもなった堤防は見事。

[ 6段の滝 ]  足尾の砂防堤は幾段にもなっており、望遠レンズで圧縮すると連続する滝のようになります。

望遠レンズで撮影すると幾つもの堤防がまるで滝のよう。こちらも足尾のシンボル的存在。

銅親水公園

[ 銅親水公園 ]

銅親水公園の入口付近から先は車両通行止めになります。

この先は「日本のグランドキャニオン」と呼ばれる松木渓谷になります。

松木渓谷へは銅親水公園に車を止めて自転車か歩きで向かいます。こちらはかなり長い距離を歩くことになるので実際に行くときは情報をよく調べてから行くようにしましょう。

[ 銅親水公園 ]

銅親水公園案内板

銅橋、銅館(コアハウス)、足尾砂防ダムで構成されています。

[ 足尾堤防 ]  簾のように流れる水は清涼感抜群。

銅親水公園の銅橋入口からみた足尾堰堤。
簾のような水の流れを高速シャッターで撮影。

[ 足尾砂防堰堤 ]  橋の上からは2段の砂防堤を見ることができます。水が澄んでいて綺麗でした。

堰堤全景。
2段構成になっていて、水の流れがとても美しい。

[ 巨大壁画 ]  堤では日本最大級の陶板による壁画を見ることができます。

日本最大規模の陶板壁画
足尾ダムには横幅25m、高さ15mの巨大な陶板壁画があります。2000枚の陶板は日本カモシカの柄になっています。

[ 銅橋 ]  公園名、橋名は「銅(あかがね)」の文字が含まれます。

銅橋
橋長は106.6mあります。

[ 三川の流れ ]  銅親水公園の堤が作るダム。ダムというよりは三つの川が流れる広い河川敷のよう。

「三川合流ダム」
銅親水公園の堰堤の上はダムになっています。ダムというよりは3つの川が合流しているという感じの風景でした。
この三つの川は松木川、仁田川、久蔵川になります。

庚申川

続いて庚申川ルートの紹介です。

庚申川はわたらせ渓谷線の「原向駅」と「通洞駅」の間から山間部に向かう県道293号沿いにあります。川は美しい渓谷で、道路沿いには足尾の産業遺産が点在しています。産業遺産と渓谷美の両方を楽しめるエリアになっています。

旧小滝橋

[ こたき橋 ]

「旧小滝橋案内板」
橋の横には案内板が設置されています。

「旧小滝橋」
明治20年に銅山使道として造られた小滝路に唯一残された銅橋で長さ約26m、幅3m。大正15年に架設された。

以上、案内板より

[ こたき橋 ]

赤錆びた銅橋は並行して走る道路(小滝橋)から撮影することができます。

[ 小滝坑跡 ]  明治18年に作られた坑道跡。

当初の小滝坑跡
明治18年に開削に着手し、翌年開坑されたが坑内電車(国内初の実用化)導入のためか、数年後に現在の大きな坑口を開設した。

庚申川

[ 緑美しき淵 ]  山岳橋から下流側は断崖になっており、庚申川の深い緑がとても綺麗でした。

透明度の高い渓谷。
この渓谷は産業遺産巡りをしているときに見つけました。足尾にこのような綺麗な渓谷があることを現地で初めて知りました。橋の上からでも川底がはっきり見えるほどです。

[ 庚申川と絶壁 ]  この辺りは深い谷になっており、山岳橋からは谷と絶壁の峡谷風景を味わうことができます。

橋から見える渓谷と岸壁。
渓谷の奥には大きな岩壁が見えます。静かな流れと荒々しさが共存した空間でした。

古河掛水倶楽部

[ 洋風館 ]  古川掛水倶楽部の入口から撮影。

足尾の最盛時期に古河興業の迎賓館として使われていた建物が現存しています。

[ 旧足尾鉱業所付属倉庫 ]  古川掛水倶楽部にある古い倉庫。1910年に建築された倉庫です。

旧足尾鉱業所付属倉庫。
1910年に作られたレンガ造りの倉庫が今も残されています。

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