信州の名瀑「雷滝」撮影ガイド。~新緑から紅葉へ「松川渓谷」光の変化と季節の移ろい
長野県高山村・松川渓谷にある「雷滝」は滝の裏を通ることができることから「裏見の滝」とも呼ばれている。松川渓谷は険しいV字谷になっており、雷滝はこの渓谷を代表する滝の一つである。
轟音が響き渡る滝を新緑から紅葉の時期まで様々な光の条件で撮影した。
雷滝の撮影ガイド
岩盤の上から豪快に水が流れ落ち、すごい轟音が鳴り響く。
駐車場にある「雷滝」案内板。
「松川本流が雷鳴のように轟音を立てて落下しているので「雷滝」といい、滝の裏側を通り見れることから別名「裏見の滝」とも言う。」
滝の落差約30m・川幅29m・左の岸壁の高さは約40m。
駐車場の脇にある雷滝への入口。
滝までは140mほどの距離で階段が整備されている。
前半は木漏れ日が差し込む広葉樹の森で、後半は急な階段で深い渓谷を下っていく。駐車場との高低差は30〜40mほど。
滝に近づくと水飛沫の音が聞こえ、ひんやりとした空気感に変わり、階段が終わると目の前に滝が現れる。写真は紅葉が色付きはじめた頃。
頭上に迫り出した岩の庇から流れる水。切り立った断崖「雷滝」は岩のドームに包まれた独特な空間になっている。対岸の岩壁に走る深い亀裂は断層がズレ動いた痕跡。
秋は水量が少ないのでスローシャッターで撮影すると上品な姿に。
大量の水が勢いよく落下し滝壺に吸い込まれていく。砕ける水音が岩壁に反射し「雷滝」周辺は轟音に包まれる。
周囲には遊歩道が整備されており、滝の裏を通って、写真の右下に見える「観瀑台」まで行くことができる。
滝の裏側は高さ3mほどの洞窟のような空間になっている。
ここは昔の滝つぼの跡になっており、大量の水が岩盤を侵食し、現在の険しい谷が作られた。
躍動感溢れる水のスクリーン。
滝の裏側から見ると、滝の流れの隙間に緑の木々が。
水のスクリーンの奥で物語が展開されるような感じがする。
新緑眩しい滝と青空。
太陽高度が高くなる新緑の頃から夏にかけて「松川渓谷」の深い谷に光が降り注ぐ。
滝つぼまで光が入る季節は、高速シャッターを使って、躍動感溢れる新緑と青空のコラボレーションを狙うことができる。
夕陽でオレンジ色に輝く「雷滝」
6月中旬。一年のうちで最も昼の時間が長い「夏至」の頃は西日が差し込む。
木漏れ日の光芒を映し出すウォータスクリーンと水飛沫。
季節・時間・天候により多種多様な作品を作ることができる滝である。
秋は対岸の樹々が秋色に染まる。
新緑の木々と滝。
光が透けた新緑の葉と白い滝が良く似合う。新緑の季節は、晴れた日は高速シャッター、曇った日はスローシャッターで滝の撮影を楽しむことができる。
岩盤に囲まれた感じを生かした構図。
白布のような美しい滝の流れと空に抜ける紅葉が美しい。
滝の上部には黄金色の紅葉が広がっている。滝の上部だけを切り取ることによりまた違った雰囲気の雷滝になった。
夏は滝つぼ付近まで光が入り込むので、緑の木々をバックに、勢いある水の流れを撮ることができる。
シャッタースピードを変えることにより、水の流れの表情が変化する。
上昇気流が発生すると、飛沫の奥がもやった感じになる。
ここに光が差し込むと光芒となるので、気流の流れにも気を配るとより良い写真を撮ることができる。
轟音響く水飛沫。
滝に光が当たっている時はシャッタースピードを高速(1/4000程度)にすれば躍動感ある水飛沫の表情を捉えることができる。
新緑と水のスクリーン。
滝の裏側からは水との距離が近いので、よりアップの写真が撮れる。
豪音が聞こえてくるような迫力。
目の前で水が踊りながら落ちていく。シャッタースピードによって水の表情が変わる。
曇天の時はスローシャッター(1秒以上)で撮影すると優美で上品な滝の写真になる。
岩のドームの手前から見ると頭上の岩盤、滝の奥の亀裂など、この谷の険しさがよく伝わる。荒々しい自然の中、滝と紅葉がより美しく見える。
錦秋深まる滝。
黄金の紅葉に包まれた空間からの優美な流れ。撮影の位置を変えれば開放的な滝の写真になる。
信州 高山村「紅葉スポット」
長野県高山村は長野県の北東部に位置する山村で「日本で最も美しい村」連合に加盟している。村の面積の8割以上が森林で植生が豊かである。 約2,000mから900mの標高差があり、牧場、滝、渓谷、山と被写体の種類も様々で、標高ごとに趣の異なった紅葉の絶景を味わうことができる。
日本離れした風景が広がる「毛無峠」
毛無峠は標高1,000〜1,900m付近に位置し、独特の植生の日本離れした風景が広がる場所で、とても景観が豊かである。
毛無峠に行くには、高山村から県道112号線で上っていくか、志賀高原を通る国道292号線で万座温泉を経由して毛無峠へ向かうという、ふた通りのアクセス方法がある。
県道112号線(大前須坂線)は長野県高山村と群馬県嬬恋村の境の標高1,800m付近で行き止まりになっている。
毛無という名前が意味するように、峠は風が強く、荒涼とした風景が広がっている。。峠付近からの眺望は、険しい山の斜面と一面に広がる紅葉の絨毯。
人が少なく、のんびりと撮影を楽しめるスポットになっている。
色彩豊かな紅葉「山田牧場」
山田牧場は笠岳の南麓に広がる広大な牧場で、標高は約1,500〜1,800m。冬季はスキー場(YAMABOKUワイルドスノーパーク)になる。
山田牧場周辺は広葉樹と針葉樹のバランスが良く、針葉樹の程良い緑が赤や黄色の木々を引き立てる。
笠ヶ岳付近は標高が1,800mで、道路から絶景が広がる眺望の素晴がしい。
空気の澄んだ秋は遠くまで眺望が良く、北アルプスが屏風のように見え、眼下に広がる善光寺平には雲が浮く。ここからは善光寺平を埋め尽くす雲海や煌びやかな夜景が見える。
七味温泉の俯瞰。
谷の陰影と紅葉を生かした写真を撮ることができるので、紅葉を撮影するにはこの場所がおすすめ。
松川渓谷「八滝」
八滝は高さは180mで八つの滝壺があることから、「八滝」と呼ばれている。対岸の滝のある険しい斜面は標高1,000〜1,300m。
展望台から滝は、松川渓谷を挟んで反対側に位置するため、近くに行くことはできないが、紅葉の中の上品な流れは一見の価値有り。
滝の左側の緑と右側の紅葉の対比がとても美しい。
松川渓谷「高井橋」
紅葉の中に浮かぶ赤い橋は松川渓谷・山田温泉入り口「高井橋」この付近は標高900m。
紅葉の色彩の中、赤い橋がとても印象的でポスターなどでよく使われる構図。
対岸に架かる「山田橋」「もみじ橋」から撮影することができ、紅葉の時期は「高井橋」周辺に駐車場が設けられていた。
この橋のたもとには舞の道遊歩道の入り口があり、薬師堂まで1.3kmの散策を楽しめる。途中には数奇屋造りの門や庵があり、情緒ある渓谷を味わいながら散策してみるのも良いであろう。