霧ヶ峰と車山 ビーナスラインの霧氷とダイヤモンドダスト撮影ガイド

霧氷やダイヤモンドダスト、そしてサンピラーの撮影スポットとして人気の霧ヶ峰。ビーナスラインはスキー場があるため、冬でもアクセスしやすくなっています。目の前に広がる真っ白な世界は何度見ても感動する美しさです。雪景色が広がる高原へ霧氷に会いにいきましょう。

ビーナスラインと霧ヶ峰・車山の概要

ビーナスライン

ビーナスラインは長野県茅野市から上田市の美ヶ原を結ぶ、全長約76kmの観光道路です。

この道路周辺にある日本百名山「蓼科山」の山容が女神に例えられることからビーナスラインという名称になりました。

白樺湖の北側には女神湖があり、この地域は「女神」という名称が古くから親しまれています。

ビーナスライン沿いのエリアには蓼科(たてしな)高原、八ヶ岳、御射鹿池、乙女滝、横谷渓谷、白樺湖、車山高原、霧ヶ峰、八島湿原、美ヶ原などの観光地や撮影スポットがあります。

ビーナスラインは南側から「蓼科エリア」「白樺湖・女神湖エリア」「霧ヶ峰・八島・車山エリア」「和田・姫木平・鷹山エリア」「美ヶ原・武石エリア」に区分されています。

霧ヶ峰高原

霧ヶ峰は八ヶ岳中信高原国定公園にあり、車山・殿城山・大笹峰・鷲ヶ峰・男女倉山などの複数の山体によって構成されています。最高峰は車山で標高は1,925mになります。

この周辺は湿原も幾つか有り、大規模な「八島ヶ原湿原」が有名です。その他に踊場湿原・車山湿原があり、これらは国の天然記念物に指定され「霧ヶ峰湿原植物群落」と呼ばれています。

このエリアは夏にはニッコウキスゲが咲き誇り、一面が黄色い絨毯になります。一般的には霧ヶ峰や車山というと、ニッコウキスゲのイメージが強いですね。

霧ヶ峰からは富士山・アルプス・八ヶ岳・蓼科山などの山々を一望することができます。

霧ヶ峰の霧氷・ダイヤモンドダスト・サンピラー

霧ヶ峰では条件が良いと「霧氷」「ダイヤモンドダスト」「サンピラー」を見ることができます。

「霧氷」は、過冷却された霧や水蒸気が木の枝などに付着し、白色に見える氷のことを言います。

「樹氷」は、木々の枝が氷で覆われている状態を言います。これが発達すると山形蔵王で有名なモンスターになりますよ。

「ダイヤモンドダスト」は大気中にある水蒸気が昇華してできた氷の結晶が降る現象をいいます。

日本語では「細氷(さいひょう)」と呼ばれます。晴れた日の早朝、気温は氷点下10度以下という条件で見ることができます。キラキラと光った氷が舞い落ちてくる様子はとても神秘的です。

霧ヶ峰に霧氷撮影に行くときはダイヤモンドダストの写真も撮りたいですよね。天気予報などを見て早朝(午前中)が晴れの日で、気温が-10度以下の時を狙いましょう!

霧ヶ峰の天気予報(気温)を見ていると、-10度から-13度ぐらいの予報が出ている時がありますよ。

「サンピラー」は日本語で「太陽柱(たいようちゅう)」と言います。

日の出や日没時に地上から垂直方向に光芒が出現します。

ダイヤモンドダストとサンピラーが重なった時は最高の天体ショータイム。これを狙いに、何度も霧ヶ峰に通う写真愛好家もいます。

霧ヶ峰のサンピラーは以下の記事をご覧ください。
霧ヶ峰のサンピラー | 霧氷の林に空から舞い降りる天使たち

霧氷撮影の準備・心構え

霧氷の良い写真が撮影できる条件は、以下のようになります。

・前の夜の湿度が高い
・風が弱い
・最低気温がマイナス10度以下
・快晴

早朝はとにかく寒い!

なんせマイナス10度以下の世界ですから。

[手袋]
100円ショップの指先が切れている手袋(カメラの操作がしやすい)で撮影してみましたが、何枚か撮影すると、手の指の感覚が無くなりかなり辛い状況に。

指先にフードがあり、撮影時だけ指先を出せるタイプの「カメラマングローブ」があると良いでしょう。ただ、指先を出してカメラを操作している間に感覚が無くなってくるので、手袋の中にホッカイロを仕込んでおくことをオススメします。

[靴]
防寒用の長靴、登山靴、トレッキングシューズなどを履いていきましょう。防寒用でない長靴やスニーカーだと指先が寒さで痛くなってきて、撮影に集中できません。夜明け前から日の出後のダイヤモンドダストを狙う場合は外にいる時間が長くなるので、特に靴には注意が必要です。

[防寒着]
ヒートテックなどの温かい下着やインナーを重ね着。その上にダウン。さらにその上に防水性のアウターが望ましいですね。アウターはスキーウェアでも良いと思います。雪が降ってきたりすることもあるので、上下ともアウターは防水性のあるものを着ていくようにしましょう。

[車]
ビーナスラインはスキー場があるので、除雪状況は良いです。ですが、冬は道路には常に雪があり、夜間や早朝は凍結している状態です。

冬タイヤ装備は必須です。スタッドレスタイヤを履いた上で、予備でチェーンを持っていくようにしましょう。

4WDの車が望ましいですが、除雪が良い道路なので、2WDの車で撮影に来ている人も多かったです。

霧ヶ峰へのアクセス・駐車場

「霧ヶ峰周辺の霧氷撮影ポイントマップ」を作成したので御覧ください。

[車でのアクセス方法]
首都圏からは中央自動車道「諏訪IC」から一般道へ。

国道152号で白樺湖を目指します。

白樺湖西岸より県道40号(ビーナスライン)に入ります。

2kmほど走ると右側に「車山高原SKYPARKスキー場」が見えてきます。

さらに2kmほど走ると左側に「ドライブイン霧ヶ峰富士見台」があります。

さらに800mほど走ると「車山肩」の駐車場が右に見えてきます。

霧氷とダイヤモンドダストが撮影できるポイントは、車山肩の駐車場から西に1kmほど進んだ場所です。(ここには駐車場がありません)

撮影ポイントの最寄りの駐車場は「車山肩」になります。


ドライブイン霧ヶ峰富士見台

白樺湖からビーナスラインで霧ヶ峰に向かいます。途中左側に売店と駐車場が見えてきます。ここからが霧ヶ峰エリアになります。

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

ここは大きな駐車場になっています。道路を挟んで反対側の小高い丘は夏になるとニッコウキスゲの撮影ポイントになります。

この駐車場の奥に林があり、ここでも雪景色、霧氷の撮影ができます。

駐車場からは蓼科山・八ヶ岳・富士山・鳳凰山・甲斐駒ケ岳・北岳・仙丈ヶ岳、中央アルプス、北アルプスなどの山々を一望することができますよ。

霧ヶ峰の霧氷「お立ち台」(人気撮影ポイント)

霧ヶ峰の霧氷でよく見る構図はどこから撮影されたものなのでしょうか?

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

有名な撮影ポイントは車山肩から西へ1kmほど進んだ道路の脇の駐車スペースです。

ここは冬季以外は車が停められるようですが、冬季は危険なので車を停めることができません。

車山肩からビーナスラインを進むと(下りになります)、2つの「180度ヘアピンカーブ」があります。ここは下りで滑りやすいので運転には注意が必要です。

そこを超えると道路が直線になります。そこからもカラマツ林や富士山が見えます。

もう少し走るとゆるいS字カーブになっており、そこを超えると左側に写真のような駐車スペースが現れます。

(車山肩からだと、この写真の奥から手前に向かってくるようになります)


「撮影ポイント(お立ち台)の様子」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

道路脇のガードレールが切れているので撮影ポイントはわかりやすいです。
早朝には撮影ポイントにはたくさんの三脚が並び、写真愛好家もいるので撮影ポイントがわからないということは無いと思います。
(気象条件が悪い時は誰もいないかもしれませんが。。。)

「撮影ポイントのパノラマ写真」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

撮影ポイントに立って、パノラマ撮影を行いました。5枚ほどの写真を合成しています。

パノラマ合成したので写真がくの字に折れ曲がって見えていますが、実際は左右の道路は背中側にあり、平行です。

正面中央に見える黒い塊がカラマツ林になっています。撮影ポイントのすぐ下はススキが広がっています。

「お立ち台の様子」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

撮影場所は横に長く、三脚を立てて20名ほどは撮影可能になっています。

「撮影ポイントの西方向の様子」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

西方向にはアルプスの山々を望むことができます。

ここから1kmほど西に進むと霧の駅(道の駅)や長野県霧ヶ峰自然保護センターなどがあります。公衆トイレも含め、冬季は利用できません。

「霧の駅」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

こちらが霧の駅の交差点の様子です。

車山肩や白樺湖方面へ戻る時はここでUターンするのが良いです。交差点の作りがターンしやすい形になっていました。

ビーナスラインは幾つかの駐車場でないと、Uターンなどは難しいです。雪で道路が狭くなっているので道路上でのUターンは危険です。行く前に、駐車場の位置は把握しておいたほうがよいですね。

真っ直ぐ進むと諏訪市街、右側に進むと八島ヶ原湿原を経由し美ヶ原へとつながっています。(美ヶ原方面は冬季閉鎖で通れません)

朝焼けと富士山

[ 朝焼けと富士山 ]  霧ヶ峰からは富士山が良く見えます。カラマツ林の奥、空が赤く焼け、富士山のシルエットが美しく浮かび上がっていました。
Camera : NIKON D800E | レンズ焦点距離 : 130mm(APS-C : 87mm)

夜明けに赤く染まる空、不気味な黒い雲、一面のカラマツ林。
望遠レンズを使って撮影すると、富士山とカラマツ林のバランスがとても良い感じになりました。
早朝は雲が多く、富士山が見えなくなりそうで心配でしたが、富士山が隠れないような形で雲が流れていきました。

霧ヶ峰の霧氷

「白い世界」

[ 氷の世界 ]

この日は天気予報で最低気温がマイナス10度以下となっていました。地元の人が「こんなに雪の少ない年も珍しい」と言うほど雪が少なく、一面真っ白な世界とはなりませんでした。

「富士山」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

道路からはカラマツ林が見え、その奥に富士山があります。
道路を歩いていると、カラマツと富士山のバランスの良い位置があるので、そこをロケハンの時に見つけて置くと良いでしょう。

「カラマツ林の様子」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

カラマツ林は手前と奥の二段になっています。手前のカラマツが画面下に大きめに入り、奥には小さなカラマツがビッシリと並ぶような写真になります。
この写真は奥のカラマツ林に隙間がある(斜めのラインが入る)感じになっています。

「カラマツの密集」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

霧ヶ峰のダイヤモンドダストとサンピラーの写真はこの構図を良く目にします。
雪景色+霧氷で真っ白の時に撮影したいですね。

「雪」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

今回はロケハンで来ているので、望遠レンズを左右に振りながら、どの木の形が良いかなどを研究しました。長い時間撮影していると、雪が降ってきました。

これはカラマツ林と雪の写真が撮影できるのではないか?と期待が膨らみます。

[ カラマツ林と雪 ]  撮影していると、雪が空から静かに舞い降りてきました。雪の前ボケが美しく、幻想的な写真になりました。

かなり雪が舞ってきました。
撮影場所からカラマツ林はだいぶ離れているので、この時は70-200mmのレンズに1.4倍になるテレコンバーターを装着して撮影しました。

前列のカラマツバヤシを画面の3分の2ぐらいに配置し、雪の前ボケが綺麗に出るようにしました。

[ 霧ヶ峰の霧氷 ]  よく冷えた朝、カラマツが白く輝き、美しい光景が広がっていました。

撮影ポイントから一番手前に見えるカラマツ林のアップ写真。

望遠レンズで大きく切り撮る場合は、木の形が重要になってきます。何度も通っている人は好みの樹形を写すことができる場所を決めているのでしょうね。

望遠レンズでのアップ写真は立ち位置が少し変わると、写真が変わってしまいます。

人数が少ない場合は比較的自由に動けるので良いですが、混んでいる時は手前の木の形、奥の林まで入れたときのバランスの両方を考えて場所を決めたほうが良いですよ。

「すらりとした木々の霧氷」

[ 霧ヶ峰 霧氷 ]

撮影ポイントから左側はそれほど背の高くない木が並んでいます。
スッキリとした霧氷の写真を撮ることができます。

ダイヤモンドダストの撮影

ダイヤモンドダストは太陽が昇り、周囲が明るくなると見ることができます。マイナス10度以下というとても寒い条件の時だけ出現する貴重な現象です。

撮影に行ったときも少し肉眼では見ることができました。

ダイヤモンドダスト撮影のカメラ設定は以下のようになります。

・手前の木々にピントを合わせておく
・背景が暗くなる場所を選ぶ
・シャッタースピードは1/1000以下
・色を出したい時はPLフィルターを付けて回しながら撮影(粒が虹色っぽい輝きになる)

シャッタースピードは高速になりますね。桜吹雪や舞い降りる雪を撮影する時と同じような設定になります。

構図を決めてピントを合わせたらオートフォーカスを切り、ひたすら連射。
PLフィルターを付けている場合はフィルターを回しながら何枚も撮影。

ダイヤモンドダストの量が多い時は一発撮りで良いですが、少ない時は何枚も撮影したものを比較明合成などで重ねると良いですよ。

信州(長野県)の霧氷スポット紹介

須坂市「峰の原高原」の霧氷

峰の原高原は本州で最も寒い場所のひとつ「菅平高原」に隣接しています。北アルプス・北信五岳の眺望が素晴らしい撮影スポットです。

標高が1,500mの峰の原高原では厳冬期になると「霧氷」や「樹氷」を見ることができます。

峰の原高原の詳細へ

長野県の霧氷撮影ポイント

長野県で霧氷の撮影に適した撮影スポットです。

・美ヶ原(松本市、上田市、長和町)
・白樺湖(茅野市、立科町)
・峰の原高原(須坂市)
・菅平高原(上田市、須坂市)
・聖高原(麻績村)

[晩秋に霧氷が撮影できる場所]
※冬は道路が冬季閉鎖になります。
・上高地
・志賀高原
・高ボッチ山

撮影スポット詳細

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