日本百名山 福島「安達太良山」紅葉撮影ガイド 〜ロープウェイ10分の空中散歩で燃え上がる紅葉の世界へ
安達太良山は日本百名山、花の百名山、うつくしま百名山に選定されている福島県を代表する山です。東北でも屈指の紅葉絶景スポットとして知られており、なだらかな斜面のカラフルな紅葉は見事。山麓からあだたら山ロープウェイで山頂駅まで空中散歩すれば、すぐに定番の絶景ポイントに到着。今回はロープウェイ山頂駅から安達太良山の山頂までの様子を紹介します。
ゴンドラで一気に紅葉絶景ポイントへ
安達太良山には「あだたら高原スキー場」があり、そのゴンドラが夏には登山観光用に運営されています。駐車場は1,500台ほどの規模になっています。
駐車場からゴンドラ乗場へと向かいます。安達太良山で人気の紅葉撮影ポイントは、ゴンドラから下りて少し歩いた場所にある展望スペースと、頂上までの登山道の途中になっています。写真撮影目的であれば上り下りの両方でゴンドラを利用するか、上りはゴンドラ、下りはくろがね小屋経由で歩く2通りの方法が考えられます。(体力のある人は上りも登山道で良いと思います)
安達太良山ロープウェイは4月下旬から11月初旬まで毎日運行しています。午前8時半〜午後4時30分の運行となっており、料金は大人片道1,000円、往復1,700円です。ロープウェイの始発待ちの長い行列ができていました。
二階のロープウェイ乗場へ進み、10分ほどの空中散歩を楽しみます。
ロープウェイの山頂駅。建物周辺は木道になっていました。
ロープウェイを降りると登山道が始まります。皇太子・皇太子妃の行啓記念碑があります。安達太良山・薬師岳展望台という案内板が出ています。
200mほど歩くと分岐が出てきます。左方向が安達太良山の山頂へ行く道、直進は薬師岳展望台(薬師岳パノラマパーク)へ行く道になっています。安達太良山の紅葉の絶景ポイントは薬師岳パノラマパークになっていますので、まずはパノラマパークに行くことにします。パノラマパークは一周300mほどなのでほとんど歩きません。
薬師岳パノラマパーク
展望スペースに「この上の空がほんとの空です」と書かれています。
これは詩人・彫刻家の高村光太郎の詩集「智恵子抄」に出てくる有名な一節です。
「あどけない話」
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に毎日出ている青い空が智恵子のほんとうの空だといふ。あどけない空の話である。
高村光太郎は二本松市出身の智恵子と結婚しました。智恵子の生家は造り酒屋で、現在は「智恵子記念館」となっています。
展望所は開けた場所になっており奥の方には沢山の人が写真を撮っています。安達太良山の紅葉を代表する絶景パノラマが広がっています。
ここの標高は1,350mとなっています。安達太良山の標高は1,700mほどなので、山頂までは650mの標高差があることになります。
手前に広がる賑やかな紅葉斜面と、奥に見える荒涼とした山々が印象的です。この荒涼とした山は左側が一切経山、右側が吾妻小富士です。ここには福島県を代表する観光道路「磐梯吾妻スカイライン」が走っており、その最高地点である浄土平駐車場から15分ほどで吾妻小富士に登ることができます。1時間半ほどの登山で一切経山に登れば、魔女の瞳と呼ばれる神秘的なブルーの池を見ることができます。
「磐梯吾妻スカイライン」撮影ガイド 〜日本離れした荒涼世界と紅葉の絶景
魔女の瞳(一切経山)
紅葉の斜面を切り裂くS字カーブの谷。
斜面によって紅葉の模様が変わり、変化に富んだ絶景になっています。この奥には二本松市・福島市などの平野が広がっています。
紅葉の先には山のピークがあります。これは安達太良山の山頂ではありません。風が強く厳しい環境によりハイマツが多くなっているようで、紅葉に彩られた斜面の上の緑が目立ちます。
安達太良山はなだらかな斜面が多いですが、写真のような絶壁もあったりします。この2つの対照的な組み合わせが安達太良山の魅力です。山頂から少し稜線を歩くと月のクレーターのような噴火口があったりと変化に富んだ山です。
絶壁を望遠レンズで撮影。なだらかな斜面の紅葉だけではなく、迫力ある山の紅葉の写真が撮れます。
燃えるような山の斜面。
山頂までの間一番紅葉がよく見える場所はここなので、写真撮影目的の場合は、ここでの撮影を思う存分楽しんだ方が良いです。
一面に広がる紅葉斜面。
これだけ広大な紅葉を見ることができる場所は少ないと思います。ゴンドラに乗って少し歩いただけでこの絶景を見ることができるという贅沢な環境。
薬師岳パノラマパークで紅葉を満喫したら山頂へ向かいます。
登山道で安達太良山頂へ
右側の奥岳登山口・安達太良山頂の道を進みます。左は麓(安達太良温泉)から登ってくる登山道になっています。
ハイマツや紅葉した木々の中を歩いていきます。
少し石の多い場所に出ました。傾斜は山頂までなだらかなので、体力的にきつい登山道ではありません。
ゴンドラの頂上駅が見えます。しばらく歩いてきましたが、あまり高度は上がっているような感じがしません。
斜面の深い谷を望遠レンズで撮影。
安達太良山山頂。
なだらかな丘の上に岩が乗っているような山頂です。
山頂がだいぶ近くなってきました。人がたくさんいるのがわかります。
いよいよ山頂が近くなってきました。
かなりの行列ができています。
山頂付近は鎖場があるので、渋滞が起きています。傾斜度はあまりない鎖場なので、登山初心者でも大丈夫です。
格好の良い和尚山(標高1,681m)が見えます。この山は安達太良連峰の最南端となっています。
写真の左上に稜線を歩く登山客が見えます。これは安達太良山頂から爆裂噴火口の「沼の平」へと歩いていっている人たちです。写真の中間部分から右下に長く伸びている道は「沼の平」を展望する場所から「くろがね小屋」を経由してロープウェイ乗場(駐車場)まで向かう登山道です。
和尚山と磐梯山の中間は赤い紅葉が少ない感じです。
右奥には百名山の「磐梯山」の姿が。福島県には日本百名山に選定されている山が多く、「飯豊山」「安達太良山」「磐梯山」「吾妻山」「会津駒ケ岳」「燧ケ岳」「至仏山」などがあります。
安達太良山紅葉 撮影後記
山の斜面を埋め尽くすほどの紅葉というのはここに相応しすぎる言葉で、ロープウェイをおりてすぐの展望台からのパノラマは素晴らしいものでした。広大な斜面を埋め尽くす紅葉といえば安達太良山と宮城県の栗駒山がよく知られています。この紅葉を見てしまうと、栗駒山の紅葉も行ってみたくなりますね。
安達太良山の紅葉撮影は標準レンズ・望遠レンズを持って行った方が良いと思います。紅葉の斜面を多く入れた広角気味の写真が定番ですが、紅葉の色、山の形などが見る方向によってかなり異なるので、部分部分を切り撮る撮影も面白いです。
安達太良山の山頂から15分ほど歩くと、月のクレーターのような爆裂火口「沼の平」があります。くろがね小屋経由で下山すれば上りとは違った紅葉を楽しむことができ、小屋から駐車場(山麓)までの登山道には「あだたら渓谷自然遊歩道」があります。渓谷は烏川にあり、この辺りの標高は約1,000mほどになります。二階滝・魚止滝・昇竜滝などの撮影を楽しむことができます。