奥日光「半月山展望台」撮影ガイド 〜紅葉の八丁出島と水鏡の中禅寺湖 秋深まる男体山
半月山展望台からの眺望は、言葉にならないほどの絶景。20分ほどの軽登山で展望台に登れば、ブルーが美しい中禅寺湖、湖に蛇のように飛び出たカラフルな八丁出島、そして雄大な男体山、遠くには戦場ヶ原や龍頭の滝まで見渡すことができます。
半月山展望台までのアクセス
半月山展望台は中禅寺湖と男体山の眺望がよく、ここからの写真はよく目にします。展望台が狭いので紅葉の時期は場所取りが大変です。
半月山展望台は中禅寺湖の南側の半月山にあります。中禅寺湖スカイライン終点の半月峠第二駐車場に車を置いて、登山道を20分ほど登ると展望台に到着します。
車でのアクセスは「いろは坂」から中禅寺湖に向かい、中禅寺湖湖畔の「立木観音入口」を左折し、県道250号を南側に進みます。左側に立木観音、右側に大きな駐車場と遊覧船乗場があるので、そこを通過します。その先から中禅寺湖スカイラインが始まります。
中禅寺湖スカイラインは以前有料道路でしたが、現在は無料で解放されています。注意が必要なのは通行時間が午前8時半〜午後5時になっていることです。夕方から朝までは中に入ることができません。そのため、紅葉の時期は早朝から中禅寺湖スカイラインの入口のゲートには長い車の列ができます。
登山と撮影のポイント
中禅寺湖スカイラインのゲートが開いたら終点まで車を走らせ、半月峠第二駐車場に車を停めます。駐車場入口の奥側から山の方に向かって登山道が出ているので、ここを登って展望台に向かいます。展望台の右側は木々が伸びているため、良い構図で撮影できるのは左側2〜3名分となります。スカイラインのゲートが朝に開くので、山登りが早い人が良い場所を確保できるようになっています。
カメラマンの狙いは朝の風の少ない時間帯 鏡のようになった中禅寺湖に映る「逆さ男体山」、「八丁出島」付近を走る遊覧船になっています。10時頃から遊覧船が中禅寺湖を走り出し、何回か八丁出島の周辺を通過し終えるとカメラマンの回転がよくなります。遊覧船は午後も走っているので、八丁出島と遊覧船の写真はその後も撮影することが可能です。
この場所は南側から北側を撮影するようになっているので男体山は一日を通して斜光か順光になっています。八丁出島は午後からは少しずつ影になってきます。
半月峠第二駐車場
中禅寺湖スカイラインの終点が広い駐車場になっています。展望台の裏側の谷に位置しており、ここからは中禅寺湖や男体山は全く見えません。
※スカイラインの途中にも駐車場があり、男体山と八丁出島を見ることができますが、湖・八丁出島・男体山のバランスがあまり良くなく、手前の木々の枝が伸びているので思ったように撮影できません。
駐車場奥の展望スペースは芝生の広場になっていて、テーブル・ベンチが設置されています。ここで弁当を食べながらゆっくりと休憩するのも良いでしょう。後ほど紹介しますが、この右側にはもう一つの絶景が待っています。
登山開始
駐車場入口の奥側から登山道が始まります。登山道の周囲は背の低い笹が広がっており、開放感があります。20分のコースタイムになっていますが、短い時間で標高を上げるので、結構きついです。
しばらくすると稜線の上を歩きます。唐松の紅葉が迎えてくれます。
周囲の山々にも紅葉が広がっています。
高度が上がってくると駐車場の車がかなり小さく見えます。
最後の方は木々の中を通る登山道になりました。
展望台に到着です。この写真は撮影の前日の夕方にロケハンに行った時に撮影しました。この時は雲の切れ間に紅葉の八丁出島を見ることができました。
少し広めの展望台です。右側に高い木があるので、左側2〜3人分が撮影スペースになります。早朝からここはカメラマンで埋まります。
天気が良く条件が良いとこの展望台の後ろ側に富士山を見ることができます。本撮影の日は快晴だったので富士山を見ることができました。
展望台からの絶景
展望台に到着した頃は八丁出島や左の紅葉の斜面も影になっていました。徐々に影が動いていき、左の紅葉の斜面、八丁出島に光が入ってきます。湖面に波は無く、鏡のようになっていました。中禅寺湖に映り込む逆さ男体山がちょうど八丁出島と重ならず、美しいバランスになっています。
朝陽によって作られた手前の斜面の黒い影によって八丁出島の紅葉、中禅寺湖の青がより美しく見えます。この時は男体山の上の空に綺麗な秋の雲が流れていきました。
男体山の左側は戦場ヶ原になっており、さらにその奥には標高2,578mの日本百名山「日光白根山」が見えます。
ブルーの水面と紅葉真っ盛りの八丁出島。
白い遊覧船が近づくと歓声が上がります。遊覧船の後ろには波紋が広がっていきます。
ブルーの湖と遊覧船は青森・秋田県境の十和田湖が有名ですが、同じような風景を首都圏から近いここ日光で見ることができるのは幸せなことです。
登山道や半月峠第二駐車場からの風景
この記事の前の方で、駐車場からもう一つの絶景が見えますとお伝えしましたが、その絶景がこれです。駐車場奥の芝生の展望スペースから右側を見ると、日本離れした絶景が目に飛び込んできます。
奥に見える足尾の山は鉱山でメタリックな風貌です。足尾の山々の無機質感と紅葉が日本離れしたダイナミックな風景を創り出しています。この写真の左側の斜面は山の谷に斜光が差し込むと黒バックの山肌に紅葉の木々が浮かび上がるようなインパクトのある写真になります。
この撮影スポットは「中禅寺湖と男体山」だけではなく、「足尾の山と紅葉」を撮影でき、絶景を2つも満喫できるのです。
駐車場からみる足尾の方面の山並み。
朝登っているときは周りの眺望を楽しんでいる余裕はありませんでした。帰りに周囲の山々をゆっくりと撮影しながら下山を楽しみました。
半月山展望台 撮影後記
奥日光の撮影スポットを調べていて、「八丁出島・中禅寺湖・男体山」のパノラマ写真に出会いました。ネットで調べたところ、この半月山展望台から撮影したということがわかり、撮影にチャレンジしてみました。
紅葉がベストな期間は短く、朝から車で並んで、さらに登山と、ハードルがたくさんありましたが、この美しい風景を見ると「行ってよかった」の一言に尽きます。
夏に訪れた時は足尾山方面の構図はそれほど絶景には感じなかったのですが、紅葉の時期に行くと印象は全く異なり、かなりの絶景ポイントに。前景の紅葉、中景の稜線とところどころにある緑、遠景のメタリックな足尾の山々と一枚の写真にこれだけの要素が詰め込める場所は貴重です。
展望台から駐車場に戻ってきた後も、しばらくの間、夢中で撮影を続けてしまいました。
奥日光には数多くの紅葉撮影スポットがありますので、その一部を紹介します。
華厳の滝
華厳の滝は日本三大名瀑に数えられるほど有名な滝で、滝に対面する無料展望台から滝の姿を見ることができます。この滝は落差が97mほどあり、中禅寺湖からの水がもの凄い勢いで滝壺に落ちていきます。少し距離のある観瀑台まで水しぶきが飛んでくるほどの豪快さ。
この滝は西向きに位置しているので、順光での撮影は午前中が良いでしょう。滝の入口に140台ほどの駐車場があり、一回約300円ほどで利用することができます。
駐車場の詳しい情報は奥日光地区駐車場のご案内に掲載されています。
竜頭の滝
竜頭の滝は中禅寺湖から戦場ヶ原に向かう途中にあり、200mにも及ぶなだらかな岩盤の上を水が流れ落ちていきます。一番下では滝が2つになっており、特に紅葉の時期は日本庭園のような美しさになり、観光客、カメラマンに人気の高い撮影スポットです。
滝の下部には駐車場・茶屋があり、茶屋の滝見台から滝を見ることができます、滝上部にも駐車場があり、こちらからは中禅寺湖に向かって流れて行く、渓流のような美しい流れを楽しめます。茶屋から上流の駐車場までは滝の横に遊歩道(ほとんど階段)が整備されています。
湯ノ湖
湯ノ湖は戦場ヶ原の奥にある湖です。湖の下流には高さ60mほどの末広がりの形をした名瀑「湯滝」があります。湯ノ湖は小さめの湖で、湖畔には宿泊施設が何軒かあります。風が無い時は湖に周辺の山々の紅葉が映り込みので、紅葉撮影で人気の高いスポットになっています。
戦場ヶ原
戦場ヶ原は標高1,400mに位置しており、中禅寺湖より寒く、紅葉が始まるのが早いです。中禅寺湖・八丁出島の紅葉がピークの時には少し枯れ紅葉になっています。朝の冷え込みが強い時は戦場ヶ原一面が真っ白になり、朝陽が当たるとキラキラと平原が輝き始めます。この写真は戦場ヶ原の駐車場(赤沼駐車場・三本松園地駐車場)に車をとめて、戦場ヶ原を通る国道120号の歩道を歩くと撮ることができます。
小田代ヶ原の白樺(通称:貴婦人)はカメラマンに大人気のスポットで、早朝のバスにはたくさんの人が並びます。(戦場ヶ原入口から歩くか、低公害バスを利用しないと小田代ヶ原には行けません)