「照葉峡」撮影ガイド 〜関東の奥入瀬と呼ばれ、俳人・水原秋桜子が日本一の紅葉と絶賛した渓流と滝巡り
首都圏からアクセスが良く、道路沿いの渓流の撮影を楽しめる照葉峡。俳人・水原秋桜子が命名した11の滝を巡りながら新緑・紅葉の撮影を楽しめる撮影スポットです。今回は11の滝の中からフォトジェニックな滝を厳選して紹介します。
照葉峡へのアクセス
照葉峡は新緑・紅葉が美しい渓谷で関東の奥入瀬と呼ばれる撮影スポットです。
照葉峡は「てりはきょう」と読みます。「てるはきょう・しょうようきょう」と呼ばれることもありますが、「てりはきょう」が正式名称になっています。
照葉峡は群馬県みなかみ温泉から尾瀬の登山口のひとつである鳩待峠へ向かう県道63号沿いにあります。
関越自動車道・水上ICを降りて国道291号を北上します。上越線湯檜曾駅(湯檜曽温泉)の少し手前を右に入り、県道63号(奥利根ゆけむり街道)を奥利根4湖(藤原湖・奈良俣湖)方面へ向かいます。
道沿いに走っていくと、道路の右側に渓谷が見えてきます。
そこが照葉峡になっており、この辺り一帯は奥利根水源の森という名称で親しまれています。
照葉峡には大きな駐車場はありません。道路沿いのところどころに数台駐車できるスペースが点在する形になっています。渓谷を終えたところに「奥利根水源の森」駐車場があり、こちらは広めの駐車場になっています。
↓照葉峡の滝マップ
潜龍の滝
潜龍の滝の目印です。照葉峡の主要な滝にはこのような目印が置かれています。風景に同化して見難いので見落とさないように注意が必要です。
滝名の書かれた案内板のところからは滝が木々に隠れてしまい、滝の全貌が見えませんでした。位置を変えると下記のように滝全体が見えます。
目印の案内板・石碑があるところが滝が良く見える場所とは限りません。案内板・石碑を設置した時は滝が良く見えたかもしれませんが、木々が成長する中で、ベストなビューポイントは徐々に変わっていると思われます。道路を滝の上下方向に歩いて、滝の良く見えるポイントを探しましょう。
滝の真横にくると下側から見る滝とは全く違う印象になります。
照葉峡の道路脇にはところどころに駐車できるスペースが整備されています。この一帯は奥利根水源の森と呼ばれてます。訪問前は照葉峡と奥利根水源の森は離れている別の撮影スポットだと思っていましたが、現地に行くと奥利根水源の森の中に照葉峡があるという印象を受けました。
ここの森は洪水を防ぐ、水源かん養機能を有しています。この森では紅葉・新緑・湿原などを楽しむことができます。
川にかかる橋があり、この上からは渓流の流れが良く見えます。
橋の上から渓流の流れを正面に見ています。渓流が正面から見える場所は少ないので、この橋は撮影ポイントとして覚えておくと良いと思います。
白龍の滝
白龍の滝は岩の中を豪快に水が流れ落ちていきます。
小さな滝なので、望遠レンズでアップ気味の撮影にしました。
山彦の滝
山彦の滝は水量豊富で落差のある滝です。
水量が多いのでシャッタースピードを早めにして、水の勢いが感じられる写真にしました。
この滝は下側から川の流れを入れて撮影することができます。豪快な滝を正面に、左右にリズミカルに振れる連続する瀬が美しい場所でした。
照葉峡風景林。
案内板が新緑に包まれて生き生きと感じられます。ここは初夏でも涼しく、撮影は快適でした。
照葉峡の道路は1.5車線ほどで車がギリギリすれ違える感じです。ところどころ車1台分ほどの幅しかない場所もあるので、運転には注意が必要です。
道路脇を歩いて行けば自分なりの渓流撮影ポイントを発見できます。
道路沿いに渓流が流れているので、撮影環境はとても良いです。
木精の滝
木精の滝は照葉峡の中でも形が良く、撮影しやすい滝のひとつです。滝の中央に大きな岩が飛び出ており、水の流れが左右に分断されています。左右で水の流れが違うのでスローシャッターでの撮影も面白そうです。
画角を広めにすると手前に木々が入り、雪解け時期の春の雰囲気を出すことができます。
木精の滝を縦位置で撮影。
この滝の奥は山の斜面になっており、新緑の木々が眩しく輝いています。スローシャッターで撮影すると上品な滝の流れに仕上がります。
つづみの滝
つづみの滝は道路脇に続く瀬から一気に水が流れ落ちます。
全体の雰囲気がわかる道路と滝が一緒に写った写真です。
この滝は途中に岩があり、2段になっているように見えます。
時雨の滝
この滝は山の斜面から渓流へと流れ落ちる滝です。
縦の流れと横の流れを意識しながら撮影しました。
時雨の滝を縦位置で。
照葉峡の奥まで来ると新緑の緑と新緑前の淡い葉が混在していて季節の移り変わりを感じることができます。
ひぐらしの滝
ここは山の斜面から複数の小さな滝が本流に向かって流れ落ちています。
照葉峡の11の滝が終わると、残雪と新緑を見ることができます。雪深い地域なので、山の斜面に程よく雪が残っています。通年5月下旬に冬季通行止が解除されるので、解除されたらすぐに撮影に行けば、残雪と新緑の写真を撮ることができる可能性が高くなります。
奥利根水源の森
この看板がある場所は少し広い駐車スペースが設けられています。
残雪と新緑そして清流
日本の原風景が目の前に広がっています。緑の色のグラデーションが美しく、しばらく見入ってしまいました。
この辺りには遊歩道があるようですが、老朽化しているように見えました。これから夏に向けて整備するのでしょうか?
道路を奥に進むほど、新緑に変わりたての風景を見ることができます。
照葉峡撮影後記
今回は県道63号の冬季閉鎖が解除されてすぐに撮影に来ました。
みなかみの諏訪峡、奥利根4湖の藤原湖・奈良俣湖、洞元の滝を巡り、照葉峡へと向かいました。照葉峡以外は谷川岳、尾瀬の山々などを入れた構図を撮影したかったので晴天の撮影を狙いました。諏訪峡は北を向いての撮影になるので、日中が順光。奈良俣湖は北西方向の撮影にあるので、午後の撮影が望ましいです。
照葉峡は木漏れ日が入るシーンを狙うのであれば晴天、しっとりとした雰囲気の撮影や滝のスローシャッター狙いなら曇天が良いと思います。数日間の撮影になるときは晴天・曇天のバランスを考えながら撮影スポットの順序を考えると良いでしょう。
照葉峡の奥まで行くと群馬県側からの尾瀬登山口となる「鳩待峠」が近くなります。
県道63号は整備されているので走りやすく、そのまま鳩待峠の入口を通過してスノーパーク尾瀬戸倉スキー場の前を通ると国道401号に出ます。国道401号を南下すると国道120号に出ることができ、南下すれば東洋のナイアガラとして有名な「吹割の滝」や「赤城山」、東方向に進めば「奥日光」に行くことができます。
周辺の撮影スポットを意識しながら行程を組めば、一回の撮影旅行でより多くのスポットを巡ることが可能になっています。
周辺の撮影スポット紹介
周辺のオススメ撮影スポットになります。撮影旅行のプランを練るときにご活用下さい。
坤六峠
照葉峡から尾瀬の群馬側登山口である鳩待峠に行く途中にある峠です。峠からは眺望がありませんが、峠から鳩待峠に向かう途中で至仏(しふつ)山などの尾瀬の峰々を望むことができます。
諏訪峡
みなかみ温泉街の下流に位置する渓谷で諏訪峡大橋からは利根川の流れと谷川岳を一望できます。道の駅「水紀行館」から遊歩道が出ており、みなかみ観光の拠点になっています。
谷川岳・一ノ倉沢
谷川岳にある絶壁で、日本三大岩場のひとつとしてクライマーに人気の場所です。谷川岳ロープウェイ乗り場から道路を40分ほど歩けば一ノ倉沢の下に到着し、迫力ある岩壁を見あげることができます。ハイキング、写真撮影共に人気の高いスポットになっています。
奈良俣湖
奥利根4湖のひとつで尾瀬の峰々の眺望が素晴らしい。ロックフィルダムとして日本3位の堤高(158m)を誇っています。ダムにはダム資料館の「ヒルトップ奈良俣」があり、駐車場・トイレが整備されています。駐車場からすぐのダム堤の上を歩けば絶景のパノラマが広がります。
洞元の滝
洞元の滝は奈良俣ダムのすぐ下に位置し、道路脇にある駐車場から観瀑台まで徒歩0分の滝です。右端はコンクリートで固められていますが、複雑な流れの滝になっており、光が入ると美しい姿を見せてくれます。
吹割の滝
沼田市にある東洋のナイアガラと呼ばれる滝です。火山によってできた溶結凝灰岩の割目に落ちる様子は迫力があり、群馬県を代表する観光地のひとつになっています。日本の滝百選に選定されています。
覚満淵
高層湿原の淵で「小尾瀬」とも呼ばれています。周囲800mほどの淵で湿原の入口には県立赤城高原ビジターセンターがあり駐車場・トイレが整備されています。水芭蕉・新緑・レンゲツツジ・ニッコウキスゲ・ススキと長いシーズンに渡って植物や風景を楽しむことができます。
赤城・小沼
赤城山の小沼(この)は赤城の地蔵岳・長七郎山・小地蔵岳に囲まれた沼で遊歩道で一周できます。初夏のレンゲツツジ・枯れ紅葉が美しい場所です。