天の川撮影で大人気「大台ケ原」登山撮影ガイド後編 ~三叉路分岐から 正木峠 尾鷲辻 経由で駐車場へ

Camera : NIKON D800E | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

奈良県・三重県境に位置する大台ケ原は日本百名山のひとつに選定されています。道路・駐車場・登山道がよく整備されていることから登山やハイキングで人気のエリアになっています。近年は天の川撮影でも人気が高まっており、新月期の夜には多くの写真愛好家が星景撮影に訪れます。

展望デッキ(三叉路)から正木峠経由で駐車場へ

前回の記事では大台ケ原の駐車場から展望デッキ(三叉路)を経由し、日出ヶ岳山頂(展望台)までの登山道を紹介しました。

「大台ケ原」撮影ガイド ~駐車場から日出ヶ岳山頂展望台までの登山ルート

今回は三叉路から正木峠・正木ヶ原を通り、尾鷲辻から中道を通って駐車場に戻るルートを紹介します。
正木峠から先は距離が長いので、天の川(星景)撮影の場合は、正木ヶ原から三叉路に戻り、来た道(駐車場から三叉路ルート)で駐車場に戻ることをオススメします。

星景撮影の場合は、この記事の正木峠を参考にして下さい。

展望デッキ(三叉路)

こちらは駐車場から展望デッキ(三叉路)に出てきたところです。

[ 大台ケ原 ]

手前側が日出ヶ岳、奥が正木峠方向になります。

「森の動物たち」

[ 大台ケ原 ]

大台ケ原には、いろいろな動物(哺乳類)が棲息しています。出会ったらおどかさずにそっと観察してください。

ツキノワグマ、アナグマ、ヤマネ、カモシカ、ノウサギ、ニホンジカ、ニホンリス、ホンドモモンガ、テンなどの動物がいます。

正木峠へ

三叉路から正木峠までは700m、徒歩で15分ほどになります。

[ 大台ケ原 ]

登山道の始まりは、写真のような傾斜の緩い階段になっています。

「木々のトンネル」

[ 大台ケ原 ]

途中から木々の中をくぐるような階段に変わってきます。三脚の足を伸ばして担いでいると、木々に当たるので、このあたりは三脚を畳んでおいたほうが良いです。

大きなカメラザックは木に引っかかったりするので、ザックも注意しましょう。特に夜は木々の枝にぶつからないように注意が必要ですね。

「シカの影響がわかります」

[ 大台ケ原 ]

[ブラウジングライン]
樹木の下枝の高さが揃っているのは、鹿が首を伸ばして枝葉を食べたからです。これを「ブラウジングライン」といいます。同じような状況は、鹿の影響を受ける奈良公園や丹沢山地など各地で見られます。

[ミヤコザサの背丈]
鹿がミヤコザサを食べるため、ミヤコザサの背丈はあまり高くなりません。

[樹木の皮ハギ]
鹿が樹木の皮をはがした跡がみられます。100%枯れるわけではありませんが、皮をはがされる度合いが大きくなると、枯れる確率は高くなります。

「階段と展望スペース」

[ 大台ケ原 ]

木々の中を長い階段が続きます。
途中には休憩できるスペースがあり、ベンチが設置されていました。

正木峠

長い階段を登り切ると、視界が開け、立ち枯れ・倒木が見えてきます。

[ 大台ケ原 ]

正木峠付近は木道になっており、木道から外には出てはいけません。

天の川(星景)撮影のときはこの木道から撮影するようになります。

「立ち枯れと倒木の様子」

[ 大台ケ原 ]

物凄い数の立ち枯れです。立ち枯れは年月の経過とともに倒木となっていきます。

昔よりはかなり立ち枯れも減ってきたとは言われていますが、それでもまだかなりの数の立ち枯れを見ることができます。

「森林の再生を目指して」

[ 大台ケ原 ]

かつて正木峠周辺は、トウヒなどの針葉樹の森林が広がっていました。
この森を取り戻すため、大台ケ原で採った種から育てたトウヒの若木を、上北山村の小中学校の児童・生徒のみなさんと一緒に植えました。

若きが育ち、この地がかつてあったような森林に戻るには、100年を超える歳月がかかります。地元の皆さんの熱意が、時を超えて実りますように。

「動物のウンチ」

[ 大台ケ原 ]

フィールドサインのひとつです。

道の上に、動物のウンチを見ませんでしたか?

ウンチは、姿を見ることの少ない動物たちの痕跡(フィールドサイン)のひとつです。昼間は目にすることのない夜行性動物でも、その形や大きでどの動物のウンチかわかることがあります。
(以上、案内版より)

※ツキノワグマのウンチは人間と同じか、少し大きいぐらいのようです。

「動物よけの柵」

[ 大台ケ原 ]

正木峠の一部では植物保護のために柵が設置されています。

星景撮影のときには、柵が写っていないか注意したほうが良いですね。レタッチのときに明るくしてみたら柵が写っていたということにならないように。。。

「木道の様子」

[ 大台ケ原 ]

こちらは、生きている木と立ち枯れ・倒木が混在しているエリアです。

立ち枯れ・倒木の写真

これだけの数の立ち枯れ・倒木を見ることができるのは珍しいので、立ち枯れ・倒木を主役にして写真を撮ってみました。

[ 倒木 ]  たくさんの倒木と立ち枯れを見ることができます。

大台ケ原では、根が抜けて倒れた状態の倒木を数多く見ることができます。

[ 大台ケ原 ]

荒涼とした感じの風景なので、モノクロで現像するのも良いですね。

[ 倒木 ]  倒木の木の根がアート作品のように転がっていました。

「迫り来る雲」

[ 大台ケ原 ]

下の方から登山道の方向に雲が上がってきています。

正木峠のピークから少し下がっていくと立ち枯れと倒木だけの風景になってきます。

天の川(星景)撮影のときに手前に立ち枯れを配置しますが、登山道近くの立ち枯れは数が限られるので、撮影者が多い時は場所取りが結構大変そうです。

特に広角レンズで撮影する場合は、手前に大きな立ち枯れを配置したいですからね。

「木道からの風景」

[ 大台ケ原 ]

ササの絨毯の上に倒木・立ち枯れが広がっています。

「倒木と迫り来る雲」

[ 迫りくる雲 ]  日本屈指の豪雨地帯である大台ケ原は気象の変化が激しいです。登山中にも下から雲が湧き上がってきました。

気象変化の激しい大台ケ原。雲が湧いてくると重厚感がある写真を撮ることができます。

「長い階段」

[ 大台ケ原 ]

正木峠のピークを過ぎ、正木ヶ原方面へ歩いていました。

長い階段を下ります。

「階段の途中」

[ 大台ケ原 ]

階段の途中に展望スペースとベンチが設置されていました。

「正木峠の階段」

[ 大台ケ原 ]

階段と立ち枯れ・倒木の風景をモノクロで表現してみました。

「正木峠・青空と雲の躍動」

[ 大台ケ原 ]

ずっと曇り空でしたが、正木峠から正木ヶ原へ下っていると、青空が広がってきました。

真っ直ぐな階段の先にはモクモクと白い雲が湧き上がり、夏の山岳風景に早変わり。

右上に展望スペースがあるので、ここに人物を配置すれば、物語性のある写真になりますね。

「階段の終わり」

[ 大台ケ原 ]

長い階段を下ると階段が右方向に曲がっています。

もう少し階段を下ると、階段が無くなり、登山道になります。

階段を下ったところから上を見上げています。

[ 大台ケ原 ]

正木峠が終わりになる場所は緑の葉をつけた木々が多くなります。

正木峠から正木ヶ原へ

正木峠の階段が終わると、正木峠までは登山道風の道になります。

[ 大台ケ原 ]

傾斜は緩やかで、ササの中を歩いていく感じになっていました。

霧が出て視界が無くなっても、ササの中の道なので、道はわかりやすいと思います。

「赤い目印」

[ 大台ケ原 ]

登山道上の木の根や、木の幹・枝に赤い目印が着いています。

これは登山道であることを示すものです。大台ケ原に限らず、登山道にはこのような目印があるので、時々チェックするようにしましょう。

わかりにくい分岐などでは、特にこの目印が役に立ちます。

正木峠の階段が終わったところから正木ヶ原までの登山道は石が多く、少し歩きにくいです。

[ 大台ケ原 ]

周囲の木々が大きくなり、薄暗いような場所が増えてきます。

[ 大台ケ原 ]

「登山道に倒れてきた木」

[ 大台ケ原 ]

登山道はとても良く整備されていますが、時々倒れかけた木があるので注意しましょう。

正木ヶ原

「正木ヶ原の立ち枯れ」

[ 大台ケ原 ]

正木ヶ原に近づくと、また荒涼とした風景が現れます。

正木峠は稜線で風の影響を受けるので、背丈の小さい木々が多かったです。ここ、正木ヶ原は背丈の高い立ち枯れを数多く見ることができます。

[ 大台ケ原 ]

「正木ヶ原中心部」

[ 大台ケ原 ]

正木ヶ原は登山道の幅が広くなり、展望スペースもあります。

「案内板」

[ 大台ケ原 ]

駐車場へ戻る中道の入口である「尾鷲辻」まで400mになります。

日出ヶ岳山頂からここまで1.5km歩いてきました。

ここから駐車場までの距離は長く、2.4kmほどになります。

「正木ヶ原の風景」

[ 大台ケ原 ]

こちらは生きている木と立ち枯れの混在しているところの写真になります。

木々の背丈が高いことがよくわかりますね。

「正木ヶ原展望スペース」

[ 大台ケ原 ]

登山道の横に設置された展望スペースです。

尾鷲辻(中道分岐)

正木ヶ原を過ぎると、登山道は尾鷲辻へと続きます。

[ 大台ケ原 ]

「尾鷲辻にある案内板」

[ 大台ケ原 ]

正木ヶ原から400mほど歩くと、尾鷲辻に到着です。

分岐のところにあずまやがあります。

[ 大台ケ原 ]

休憩するのにちょうどよい場所ですね。

駐車場に戻るには尾鷲辻の案内板を右折します。

[ 大台ケ原 ]

ここを右折しないで真っ直ぐ進むと「大蛇嵓」になります。大蛇嵓までは1.1km(徒歩30分)ほどなので体力に余裕があれば大蛇嵓まで行ってみるのも良いでしょう。

大蛇嵓の帰りはシオカラ谷経由でも駐車場に戻ることはできますが、標高1,600mから標高1,400mの谷に下り、また登らなければならないので、大蛇嵓から尾鷲辻に戻ってきて中道で駐車場に戻ったほうが楽ですね。

「中道の様子」

[ 大台ケ原 ]

中道に入ると平坦な登山道になります。

「木の花と訪れる昆虫たち」

[ 大台ケ原 ]

[木の花]
草花にくらべて樹木の花は、なかなか目につきにくいものですが、道に落ちた花びらで、花がさいているのに気がついたりします。どの木がどの花をつけているのか、観察してみて下さい。

[木の花にくる昆虫]
蜜や花粉を求めて多くの昆虫がやってきます。高いところは観察しにくいですが、手近な花から観察してみましょう。

「石畳」

[ 大台ケ原 ]

中道は石畳のようになったところも多いです。

道は平坦ですが、ここまでにかなりの距離を歩いているので、とにかく長く感じます。

「駐車場まで1.6km」

[ 大台ケ原 ]

尾鷲辻から400m歩いてきました。まだ残り1.6kmほどあります。

「コケが好きなところ」

[ 大台ケ原 ]

コケは、岩の上や木の幹まで生えています。それは、この辺りが谷筋で湿度が高いためです。

以前、このあたりの林では見事なコケの絨毯が見られましたが、最近は林床が乾燥化し、林の中の環境が変わったことから、コケに代わってミヤコザサが多くなりました。

「駐車場まで残り1km」

[ 大台ケ原 ]

駐車場まで残り1kmとなりました。

中道は距離の記載された案内板がほどよい間隔で設置されています。

「登山道・ビューポイントの位置関係」

[ 大台ケ原 ]

ここにはビューポイントの位置も記載されていました。

現在の位置と、これまでに巡ってきた「日出ヶ岳」「展望三叉路」「正木峠」「正木ヶ原」「尾鷲辻」のいち関係を復習することができます。

「沢」

[ 大台ケ原 ]

沢を渡ります。ここは橋が架けられています。

橋を渡ると駐車場までは緩い登りになっていました。

[ 大台ケ原 ]

だんだんと人の声が聞こえるようになってきました。

駐車場が近くなってきましたね。

「中道と展望デッキ(三叉路)登山道の分岐」

[ 大台ケ原 ]

駐車場から歩いてすぐの分岐に出ました。

「駐車場へ」

[ 大台ケ原 ]

木々の奥に駐車場が見えています。

長い登山でしたが、無事駐車場に辿り着きました。

大台ケ原(正木ヶ原・尾鷲辻)撮影後記

今回は正木峠の紹介、そして正木ヶ原・尾鷲辻を歩き、中道を通って駐車場への登山ルートの説明となりました。

正木峠から尾鷲辻まで1.1km、中道が2kmと距離の長いルートになります。星景撮影だけだと正木峠から展望三叉路に戻り、来た道で駐車場に帰るルートが良いですが、今回は日中にロケハンで歩いたので、正木ヶ原・中道経由コースを歩いてみました。

距離が長いルートであり、正木峠と正木ヶ原の間は石がゴロゴロしている登山道になっていたので、夜中・早朝に歩くのであれば、こちらのルートはあまりオススメしません。

大蛇嵓を見に行く目的(登山)であれば、このルートを通ることになります。


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