「大台ケ原」撮影ガイド前編 ~駐車場から日出ヶ岳(山頂展望台)までの登山ルート

日本百名山の一つ「大台ケ原」は立ち枯れや倒木の風景で知られ、近年では天の川撮影で人気の撮影スポットになっています。今回は大台ケ原ドライブウェイを使っての駐車場までのアクセス、駐車場から日出ヶ岳山頂までの登山ルートを紹介します。

大台ケ原の概要

大台ケ原は奈良県と三重県の県境にある、複数の山と大地の総称です。日本百名山・日本百景・日本の秘境100に選ばれています。

大台ケ原は東大台と西大台エリアに分けられています。西大台は環境省が立ち入り人数を制限しており、入山には事前申請と手数料が必要で、入山前にレクチャーを受ける必要があります。

東大台は入山規制が無く、自由に入山することができます。日出ヶ岳山頂(展望台)、立ち枯れが名物の正木ヶ原、大蛇嵓などは東大台エリアにあります。

大台ケ原へのアクセス・駐車場

吉野町方面からは国道169号を南下します。

大迫ダムを越え、栗の木トンネルに入ります。途中はループ橋になっており、ループのトンネルを出たところに右側に入る道があります。


ここから県道40号(大台ケ原ドライブウェイ)を走ります。道なりに走っていくと大台ケ原の駐車場に到着します。

「国道から県道40号への入口」

[ 大台ケ原 ]

左側に廃店となった建物があります。この写真の少し手前の道路上に大きな青い案内板があり、左方向(道なりにトンネルに入ると)新宮・熊野方面、右側に入ると大台ケ原と記載されています。

カーブのところの分岐なのでループ橋のトンネルを出たらスピードを落として走りましょう。

大台ケ原ドライブウェイ(県道40号)は入口から2kmほどの区間が狭く、1.5車線ほどです。そこを過ぎると2車線の幅になります。しかし、あまりスピードを出すと危険ですので、ゆっくりと運転するようにしましょう。

なお国道分岐から大台ケ原の駐車場までは約20kmほどの距離があります。

霧が発生することが多く、また野生動物の飛び出しもあるので注意しましょう。

大台ケ原ドライブウェイはかつて有料道路でしたが、1981年に無料化されました。冬期は通行止めとなります。

大台ケ原駐車場

「大台ケ原ドライブウェイの終点」

終点には広大な駐車場があります。収容台数は200台となっています。トップシーズンは早朝でも満車になることがあります。

[ 大台ケ原 ]

駐車場の周辺には何個も建物があります。駐車場の一番奥がビジターセンターで、その手前が東大台(登山道)の入口になっています。

登山道入口に近いのは駐車場の左奥側になりますね。

[ 大台ケ原 ]

「ビジターセンター」

[ 大台ケ原 ]

ビジターセンターで登山に関する情報を得ることができます。駐車場に着いた時は、駐車場の周辺に幾つか建物やトイレがあり、登山道の入口がどこかわかりにくかったです。車を停めて駐車場をぐるりと歩いたらこのビジターセンターの横が登山道入口だとわかりました。

天の川撮影などで夜に到着する場合は、駐車場の左奥が入口だと覚えておくとわかりやすいです。

「案内板」

[ 大台ケ原 ]

案内板が色あせていて見にくいですが、天の川撮影のポイント(展望台や立ち枯れの多い正木峠)は案内板の現在地から上側になります。

まず、「展望デッキ(三叉路)」を目指します。駐車場から40分ほど歩くと「展望デッキ」に到着します。ここから左側に15分ほど急階段を登ると「日出ヶ岳」(天の川写真でよく見る展望台)、右側に15分ほど階段を登っていくと立ち枯れの多い「正木峠」になります。

帰りは日出ヶ岳山頂と正木峠の中間にある「展望デッキ」に戻り、そこから来た道で駐車場に戻るルートがオススメです。正木峠から正木ヶ原→尾鷲辻→中道→駐車場という周回ルートがありますが、こちらはかなり距離があります。(正木峠からはほとんど下りか平坦な道ですが、距離が長いので結構大変です)

「コースの案内」

[ 大台ケ原 ]

案内板には分岐などのポイントと、区間ごとの距離、時間が記載されています。
標高差もわかる案内になっており、とても参考になります。

・大台ケ原駐車場から展望デッキ(展望三叉路)まで1600m(約45分)
・展望デッキ(展望三叉路)から日出ヶ岳山頂まで300m(約15分)
・展望デッキ(展望三叉路)から正木峠まで500m(約15分)
・正木峠から正木ヶ原まで700m(約10分)
・正木ヶ原から尾鷲辻まで400m(約15分)
・尾鷲辻から中道経由で大台ケ原駐車場まで2000m(約45分)

「大台ケ原のご紹介」(案内板)

[ 大台ケ原 ]

[近畿地方有数の山岳地帯]
大台ケ原は、大峯山系とともに近畿の屋根と言われる台高山系の南端に位置し、日出ヶ岳(1,695m)をはじめとするいくつもの峰に囲まれた、標高1,400m~1,600mのゆるやかな大地です。

[日本有数の多雨地帯]
年間で4,500mm以上の降雨があり、その豪雨によって激しく削られてできた大蛇嵓などの断崖絶壁、中の滝など雄大な景観がみられます。

[貴重な動植物の生育・生息地]
トウヒやブナなどの植物をはじめ、寒地性、山地性の生き物や、オオダイガハラサンショウウオなど、名前に「オオダイ」とつく貴重な生き物が生息しています。

[特別保護地区]
すぐれた自然の景勝地、動植物の宝庫となっていることから、吉野熊野国立公園の特別保護地区、国指定大台山系鳥獣保護区の特別保護地区に指定され、厳正に保護されています。

「登山道入口」

[ 大台ケ原 ]

左右が笹で覆われた登山道になっていました。入口からしばらくは平坦です。

「大台ケ原の現状」
登山道のところどころに大台ケ原を知ることができる案内板が設置されています。

[ 大台ケ原 ]

昭和30年代の伊勢湾台風などによってたくさんの樹木が倒れ、それらを搬出したことがきっかけとなり、ミヤコザサの分布域が広がり、森林の更新が阻害されるようになりました。
また、ササを主食とするニホンジカが増加し、下層植生が食べられたり、樹木の皮が剥がされるようになりました。

このほか、大台ケ原ドライブウェイの開通による利用者の増加など、さまざまな要因で森の衰退が進んでいます。

登山道に入るとすぐ左に建物がみえます。

[ 大台ケ原 ]

その建物が見えるあたりで、道が2つに別れています。

[ 大台ケ原 ]

展望デッキ(三叉路)・日出ヶ岳は左方向になるのでここは左方向に進みます。

その先で左上に向かう階段が見えてきます。

[ 大台ケ原 ]

左上の階段は苔探勝路なので、ここは直進します。展望デッキ(三叉路)までは分岐が無いので、ここを間違わなければ大丈夫です。

5月末・6月初旬でも平地はすでに暑く、日中は過ごしにくい状況ですが、大台ケ原は標高が高いのでとても涼しいです。

[ 大台ケ原 ]

「森の代表選手たち」

[ 大台ケ原 ]

この周辺を代表する木は、トウヒとウラジロモミです。両方とも針葉樹で良く似ていますが、注意深く観察すると違いがわかります。

登山道の奥に柵が見えます。

[ 大台ケ原 ]

植物を保護するための鹿よけの柵のようです。

「森の小鳥たち」

[ 大台ケ原 ]

このあたりは主にトウヒ林です。トウヒ林ではルリビタキやメボソムシクイが見られ、ミソサザイ、ウグイス、ゴジュウカラ、オオルリなどはトウヒ林とブナ林の両方で見られます。

「日出ヶ岳まで1km地点」

[ 大台ケ原 ]

駐車場から900m歩いてきました。ここまでは平らな道です。

「登りのスタート」

[ 大台ケ原 ]

ここから登りが始まります。展望デッキ(三叉路)まで一気に標高を上げていく感じですね。
登りといってもそれほど急ではないです。

登りのスタートはコンクリートで固められた石畳です。

[ 大台ケ原 ]

やがて、登山道のようなゴロゴロと岩が転がった道になってきます。

[ 大台ケ原 ]

「自然に配慮した歩道です」

[ 大台ケ原 ]

多くの歩道区間で、ロープと木道によって皆さんの歩くルートを定めています。貴重な動植物の保護のため、定められたルートを歩いて下さい。

整備された場所が多い登山道なので、歩くのは楽です。

[ 大台ケ原 ]

平になった場所がところどころにあるので、息を整えながら登りましょう。

[ 大台ケ原 ]

坂道を登り終えると、尾根に出ます。倒木などが現れ、大台ケ原の雰囲気になってきます。

[ 大台ケ原 ]

「展望デッキ案内板」

[ 大台ケ原 ]

尾根に出たところに案内板があります。ここから左に進むと日出ヶ岳、右に進むと正木峠です。

「日出ヶ岳を望む」

[ 大台ケ原 ]

写真の右奥の山が日出ヶ岳です。ここから階段で山頂まで登ります。

「三叉路」

[ 大台ケ原 ]

分岐のところに標識がありました。

「海が見える」

[ 大台ケ原 ]

天気が良ければ、この方向に熊野灘が見えます。尾鷲湾、志摩半島、そして知多半島も望めます。遠くに富士山が見えることもあります。

でも、雨や霧で見えないことがしばしばです。周辺が晴れているのに雨や霧が出やすいのは、海から湿った空気が吹き上げて、直線距離で15kmしかない大台ケ原にぶつかるためです。

「展望デッキ」

[ 大台ケ原 ]

木製の広い展望デッキです。休憩するのにとても良い場所でした。

大台ケ原は天候が変わりやすいです。

[ 大台ケ原 ]

この日は歩いている途中から雲が多く湧き出して、途中から雨の降りそうな雰囲気になってきました。(駐車場に戻るまで、雨には降られずに済みました)

「展望デッキの上」

[ 大台ケ原 ]

展望デッキの途中に3段ほどの階段があります。
ここに座って休憩している人が多かったです。

「分岐付近から展望デッキを望む」

[ 大台ケ原 ]

展望デッキは空中に浮いているような感じの作りになっていました。
デッキ前の一本の木が印象的です。

「巨大な木の根」

[ 大台ケ原 ]

巨大な木の根っこがオブジェのように転がっています。

これだけの大きさの木の根を見ることができるのは貴重です。

霧が出たときとか、早朝・夕暮れの薄暗いときには作品的な写真が撮れそうですね。

日出ヶ岳への階段

いよいよ階段のスタートです。

[ 大台ケ原 ]

少々疲れたところでの階段なので大変ですが、山頂まで300mほどの距離なので頑張りましょう。

階段の途中まで来ると、さらに階段が続く。

[ 大台ケ原 ]

木製の階段を登り終えると緩い傾斜の階段になります。

[ 大台ケ原 ]

立ち枯れや背の低い木々が立っており、大台ケ原らしい風景が広がります。

「立ち枯れや倒木だらけ」

[ 大台ケ原 ]

登山道の周辺ではあちらこちらに倒れた木が転がっています。

この周辺も倒木が多いですが、日出ヶ岳の後に行く「正木峠・正木ヶ原」はレベルが違う立ち枯れと倒木の数になっています。

日出ヶ岳山頂展望台

階段の先に展望台がちょっとだけ見えてきました。

[ 大台ケ原 ]

もう少しだけ歩けば山頂です。

「山頂の様子」

[ 大台ケ原 ]

山頂は開けており、周囲はササが広がっています。
かなり大きな展望台です。

展望台の周囲は広場のようになっていて、休憩することができます。

[ 大台ケ原 ]

天の川撮影の時は展望台下の広場や登山道からの撮影になりますね。

日出ヶ岳山頂からの眺望

「日出ヶ岳山上より西を望む」

[ 大台ケ原 ]

玉置山・和佐又山・金剛山・葛城山・生駒山などが見えます。

「日出ヶ岳山上より東を望む」

[ 大台ケ原 ]

乗鞍岳・木曽駒ケ岳・恵那山・仙丈ヶ岳・富士山・熊野灘・尾鷲湾などが見えます。

「大杉谷方面」

[ 大台ケ原 ]

こちらは三重県側に降りる大杉谷のルートです。本格的な登山ルートになるので、こちらに間違って降りてしまわないように注意しましょう。

「大台ケ原はもどれ!」と大きく書いてあります。

正木峠方面

展望台から登ってきた方向を見ると反対側に階段が見えます。

[ 大台ケ原 ]

この階段は三叉路(展望デッキ)から正木峠に向かう登山道です。

正木峠へは一度下ってから、また登る必要があります。

「霧」

[ 大台ケ原 ]

展望台で休憩していると、霧が湧いてきました。

この日は視界が無くなるようなことはありませんでしたが、霧の量が多いとあっという間に霧に包まれて視界が無くなりますね。

「日本屈指の豪雨の山」

[ 大台ケ原 ]

大台ケ原は、1年間に平均4,800mmほどの降水量があります。

これは大阪市や奈良市の降水量の3倍以上です。

台風シーズンに特に多く、1日に1,000mm(1m)以上降ったという記録もあります。

大雨の原因は、黒潮に接して湿気を十分に含んだ南東気流が、急勾配の地勢に出会って旺盛な上昇気流となるためです。

ここに降った水は、3つの川(熊野川、紀ノ川、宮川)を流れくだり、流域一帯を潤し、豊かな海を育んでいます。

大台ケ原・日出ヶ岳登山 撮影後記

今回は天の川撮影で大人気の大台ケ原を散策してみました。天気が良ければ日中にロケハンをして、夜に天の川撮影に挑戦する予定でしたが、残念ながら暫くの間天気が悪い(泣)。

ということで曇天で涼しい登山を楽しみました。この記事は日出ヶ岳までの登山ですが、この後、反対側の正木峠・正木ヶ原もロケハンしていますので、そちらの記事もご覧下さい。

鞍部(展望デッキ・三叉路)から日出ヶ岳・正木峠へそれぞれ15分程度で行くことができるので、1日で両方の写真が撮れるのは魅力的ですね。

光害が少なく、山頂付近まで自家用車でアクセス可能、登山道が整備されており比較的安全、展望台や立ち枯れなど写真の前景になる被写体がある、など、天の川撮影の好条件が整っている場所になっていました。


撮影スポット詳細

おすすめスポット


検索&翻訳

オススメ記事&スポット

PAGE TOP