秩父「美の山」雲海撮影ガイド 〜宝石のように煌めく街明かりと大雲海
雲海の出やすい地域として知名度が上がってきている秩父盆地。今回は秩父盆地を一望することができる撮影スポット「美の山公園」からの雲海撮影についてご紹介します。特に夜の雲海は街明かりが透けて、絶景という言葉がふさわしい光景になります。
秩父の雲海
秩父は雲海の出現率が高く、街明かりが透けて幻想的、さらに東京から近いということでSNSなどで話題になっています。
西武鉄道は三峯神社の雲海ツアーを主催したり、秩父ミューズパーク展望台行きの早朝バスを運行したりと秩父の雲海観光に力を入れています。
秩父鉄道のホームページでは三峯神社・ミューズパークでの雲海発生状況を月ごとに発表しています。2015年からの数字があり、雲海が出やすいことがよくわかります。
西武鉄道「秩父地域の雲海情報・発生率」
雲海が発生する条件の一番簡単な覚え方は「雨が降った翌日が晴れの朝」です。
・昼夜の温暖差が激しい→春や秋が当てはまりますが、秋の方が出る確率が高いです。
・湿度が70%以上→前日に雨が降ると湿度が高くなっているので発生確率が高くなります。
・風があると雲が流れてしまうので、風がないということも重要になります。
最近では雲海のライブカメラなどが設置され、さらなる盛り上がりを見せています。
美の山公園について
美の山は山頂まで車で行くことができ、展望台が三ヶ所あります。秩父市街地を広範囲に見渡せ、雲海が薄いとき、厚い時のどちらでも雲海の写真を撮ることができます。(秩父のもう一つの雲海撮影ポイントであるミューズパーク展望台は雲海が厚い時には雲の中に入ってしまいます。)
「美の山公園案内板」には以下のような説明が書かれています。
この公園は秩父市と皆野町にまたがる標高581.5mの蓑山山頂部一帯に桜の名所をつくろうと、12年の歳月をかけて整備を行い、昭和54年に「美の山公園」として開園しました。蓑山は秩父地域では珍しい独立峰であるため、山頂からの展望は素晴らしく、奥武蔵、外秩父、奥秩父の山々を一望することができます。また、季節の移り変わりとともに、ヤマツツジやアジサイなどの植物や野鳥の観察を楽しむことができます。
以上、案内板より。
美の山公園は春の山桜に始まり、ツツジ、初夏のアジサイの群生など、花の名所としても知られています。アジサイの時期は雨が降ると山間部に雲が湧き上がり、幻想的な紫陽花風景を楽しむことができます。
美の山公園へのアクセス
美の山公園へ行くには3つのルートがあります。
1.長瀞側入口(皆野町役場交差点)
2.秩父側入口(美の山入口交差点)
3.県道82号側入口(三沢小学校付近)
長瀞(ながとろ)側の入口は群馬・長野・本庄・深谷・熊谷方面から来る場合、秩父側入口は秩父市街地・山梨・東京方面から来る場合に便利です。県道82号側はあまり使う人はいないでしょう。東秩父村や小川町から天空のポピー畑(秩父高原牧場)を通って来る場合はこのルートになります。
秩父側・長瀞側のどちらの道も舗装されており、山頂手前で合流します。すれ違いができるところ、道幅が細くすれ違いしにくいところがあるのでスピードは出さないようにしましょう。特に雲海が出ている日は霧の中を走ることになったりするので注意が必要です。
秩父の雲海撮影ポイントマップです。美の山への入口、撮影ポイントの情報を掲載。
秩父市街地風景
美の山から見た秩父盆地の写真です。
左手前の大きな建物が秩父太平洋セメント、その右に見えるのが荒川、奥に見える大きな橋が秩父ハープ橋。ハープ橋の右奥がもう一つの雲海眺望ポイントである「秩父ミューズパーク展望台」になります。
標高約600mの美の山公園は秩父盆地全体が一望でき、秩父市街地までの距離が近く、雲海が出ると街明かりが雲海に透けるという好条件がそろっていて、さらに2つの大きな工場、ピラミダルな武甲山という被写体まであります。
美の山へのアクセス(道路詳細案内)
長瀞ルート・秩父ルートの合流地点付近から山頂駐車場までのルート案内です。
写真奥にロータリーがあり、ここが2つのルートの合流地点です。
山頂の駐車場が満車の場合は合流地点にある第二・第三駐車場に駐車することになります。遊歩道(階段)で山頂の展望台まで行くことができます。夜は暗い中を10分程度歩くので、ヘッドランプ・懐中電灯を持って行くようにしましょう。
「ロータリー」
秩父側、長瀞側のどちらから来ても、ここのロータリーに出ます。
モニュメントがあるのでわかりやすいと思います。
「第二駐車場」
この駐車場は広く、トイレが併設されています。ドリフト走行をしないようにするため、駐車場の中は段差がたくさん作られているので、夜に駐車する時には段差に注意しましょう。
ここは山頂駐車場が満車の時に利用するので、ひとまず山頂まで向かいましょう。
合流地点から山頂駐車場まで
ロータリーから先は大型車(バス)は入ることができません。
普通車は山頂の駐車場まで行くことができるので、このゲートから先に進みましょう。右側に柵があるので夜はぶつけないように注意しましょう。
ゲートから先の道路脇にも所々に駐車スペースがあります。
カーブが数カ所あります。道なりに上へと進んでいきます。美の山は春は桜の名所として知られています。道路の両側には古い桜の木が並んでいます。
山頂が見えてきました。左側に見える建物が入口展望台(雲海撮影のメインとなる展望台)で、その奥が駐車場になっています。
山頂駐車場と展望台
駐車場から展望台への階段が出ています。この階段を登ると展望台までの少しの区間、木の根っこが多い道になるので、夜は木の根につまずかないように注意が必要です。左側の道路を通れば、舗装された道と階段で展望台に行くことができるので、慣れないうちは道路側から展望台に行った方が良いと思います。
広場の外側に舗装された駐車スペースがあります。10数台ほどのスペースしかないので、雲海が出そうな条件の日には夜中から満車になります。
第一・第二・第三駐車場の位置。
山頂の第一駐車場の奥にある案内板です。第一駐車場が満車の時は下のロータリーまで戻って第二駐車場を使うようになります。
入口展望台
「ベストポジション(展望台上段、左側)からの眺め」
左奥が武甲山、その手前が三菱マテリアル横瀬工場、中央手前が秩父太平洋セメント、その後ろがハープ橋、ミューズパークという位置関係になっています。下段にも三脚が並びますが、下段の人は構図から外れるので、邪魔になりません。
「入口展望台から見た秩父の街並みと武甲山」
展望台は二段になっています。武甲山が正面、ハープ橋やセメント工場は右側にあるので、展望台のベストポジションは上段の左側になります。
下側は手前の木々があるので、写真に映る街の面積が少なくなります。
秩父の夜景・雲海
「秩父の夜景」
雲海が出ていない日は、夜景撮影を楽しむことができます。美の山公園は雲海で人気が出る前から、夜景スポットとして有名な場所です。今でも写真愛好家だけでなく、カップルやグループが夜景を見に訪れます。カメラマンとカップル、若者のグループ、家族連れがごちゃ混ぜになった展望台は賑やかで面白いです。
「宝石箱のような雲海」
程よい量の雲海だと、街明かりが透けて宝石箱のようになります。雲海の量が多いと街明かりの光量が落ちるので、星とのコラボレーション写真を撮ることができます。
「雲海で埋め尽くされた秩父盆地と武甲山の上を舞う星たち」
宝石のようにきらめく雲海夜景、星とのコラボレーションはまさに絶景。
「武甲山と三菱マテリアル横瀬工場の煙」
街明かりの向こうにや雄大な武甲山の姿が。武甲山の麓には秩父のシンボルにもなっている工場が煙をあげていました。秩父の雲海は工場風景も入るのが良いですね。
「薄い雲が流れている時の様子」
この写真を撮影した日は、ほんの少し雲が流れているだけでした。夜中に長秒(スローシャッター)で撮影すると、少しの雲でも雲海のように映ります。
肉眼で見て、あまり絵にならないな?と思っても、数分の長秒撮影を行ってみると雲海写真になったりしますので、ISO400〜800程度で長秒撮影をしてみましょう。撮影した画像を見て、ISOや絞りを調整していくのが良いと思います。
「雲海に包まれた秩父盆地」
この日は秩父盆地を埋め尽くすほどの大雲海で、夜が明けてから午前10時近くまで街が見えないほどでした。ピラミダルな武甲山と雲海はモノクロのような世界に。
これほどの大雲海になると秩父ハープ橋まで雲の中に埋もれてしまいます。
広場と東展望台
「入口展望台(裏)」
展望台の裏は広場になっています。2つのトイレ、写真等を展示している建物、時計などがあります。
この写真の左側が駐車場、写真手前側がトイレになります。
「公衆トイレと東展望台」
第一展望台から広場を少し歩くと、2つ公衆トイレがあります。
「東展望台」
こちらからは広大な山並みの風景を楽しむことができます。春の山桜、初夏の紫陽花はこちら側から眺めるようになっています。
東展望台は木製なので、揺れます。他の人が動いている時に撮影すると三脚がブレているので注意しましょう。
「紅葉と川のような雲海」
東展望台からは紅葉した木々と雲海を見ることができました。こちらは春には山桜、初夏には紫陽花の絶景が広がります。葉の無い木々は一足早く紅葉を終えた桜たちです。
夜明けからしばらくは雲が厚い状態でしたが、徐々に青空が見えて来ました。
山頂展望台
公園の広場の奥にある展望台で、入口展望台より大きいです。武甲山は見ないので、秩父の市街地と奇岩の両神山が被写体となります。
「山頂展望台から見える山々」
武甲山、太平山、雲取山、白岩山、雁坂峠、破風山、甲武信ヶ岳、両神山、二子山などが一望できます。
「武甲山」「両神山」の二つは山容が特徴的です。
大雲海になった時に山頂展望台から秩父市街地の右側方向(両神山方面)を望遠レンズで撮影しました。雲海から丘陵地が頭を出し、水墨画の世界のような美しい光景を見ることができました。
紫陽花(初夏の風景)
東展望台から見下ろすと斜面一面が紫陽花に埋め尽くされています。こちら側は秩父市街地とは反対側になっており、標高の低い山が連なっています。山と山の谷には雲が湧きやすく、美の山ならではの絶景を満喫することができます。
山桜(春の風景)
美の山公園には8,000本もの桜が植栽されており4月中旬から5月上旬まで観桜を楽しむことができます。東側の斜面には山桜が多く、賑やかな春の風景が広がっています。正面の山並みから昇る太陽、朝陽の逆光で輝く桜は見事。
公園は整備されているので抜けが良く、桜を上から見下ろす形での撮影が可能になっています。
「美の山公園の桜」撮影ガイド 〜秩父の街並みと色彩豊かな山桜