「摩周湖」撮影ガイド 〜日本一透明度の高い神秘のカルデラ湖
霧の摩周湖。そう言われるくらい夏場は霧雨が多くすっきりと晴れることが非常に少ない。原因は釧路方向から流入してくる海霧にあります。
この海霧が屈斜路四峠で堰き止められ行き場を失った海霧が厚みを増し標高の高い摩周湖をも覆い隠してしまうからです。この海霧は藻琴山を越えることは殆ど無くここを境に北見地方と釧路地方の天気は一変します。
夏のシーズン晴れた摩周湖を見るのはなかなか困難ではありますが、太陽高度の高い夏だからこそ晴れた日には四季の中で最も美しい摩周ブルーを見せてくれるでしょう。
摩周湖に狙いを絞った場合は弟子屈町を拠点にするとよいでしょう。
さらに摩周湖のみならずオンネトーや阿寒湖、屈斜路湖に行くのにも利便性が高いです。
弟子屈町の道の駅には観光案内所、足湯、摩周の湧水がありここで車中泊する人も多い。
隣接する水郷公園の近くのペンションには日帰り温泉とコインランドリーがあり長期滞在者はよく利用しています。また亀の湯等の公衆浴場もあって安く温泉に入れます。
弟子屈から摩周湖までは約10km。まず有料の第一展望台が出てきます。7時から17時までは料金所が開いていますがそれ以外の時間でも入ることができます。
ただしトイレの電気は20時で完全に消えてしまいますのでヘッドライトが必要です。晴れた夜は22時くらいまで星を見に来るツアーが多く大型観光バスが何台も入ってきます。
星を撮る人は22時以降が煩わしくなくてよいでしょう。展望箇所は3つあります。
摩周湖に向かって一番左端の展望所です。
28mmでの見え方です。
次に真ん中の展望所です。ちょうど売店の屋上部分になります。
手前の木々が一番邪魔にならない場所です。
向かって一番右の展望所です。観光客の記念撮影によく使用されています。
一番右奥には摩周岳への登山口があります。
ゆっくり写真を撮りながら徒歩3時間弱といったところでしょうか。
この登山道を5分ほど歩くと展望が利く場所があり、ヨツバヒヨドリが群生しています。時期は8月初旬ごろです。
第一展望台から夜明けの摩周湖を撮影しました。7から8月は摩周岳から陽が昇ってきます。斜里岳も見えます。
次に第三展望台を訪れました。第一展望台から3kmの距離です。
無料の駐車場がありますがトイレはありません。
硫黄山方向の展望も抜群です。屈斜路湖と藻琴山も見えます。
夏場は夕日もこの方向に沈んでいきます。
横断歩道を渡ると第三展望台への入口があります。
階段を登ると目の前に摩周湖が見えてきます。手前の植物はアシチルベといいます。
左側の展望台が最も見通しが利きます。
展望台は2段になっています。
下の段のほうが写真を撮りやすいでしょう。
透明度が高い上に急激に深くなっていく地形的な要因で青以外の反射が極端に少なくなり独特の摩周ブルーを生み出しています。
うっすらと霧の残る摩周湖も神秘的です。
先程の階段を上がってすぐ右にも展望台があります。V字に切れ込む地形を入れることができます。
またカルデラ壁を越えて流入してくる滝霧の撮影には標高の高い第三展望台が最適です。
7月中旬、カルデラ壁の外側にはアジサイの一種であるサビタが見頃を迎えます。
カルデラ壁の内側には殆ど花がありません。それだけ内側は気象条件が厳しいのでしょう。
次に通称第二展望台と呼ばれている場所を紹介します。実際の第二展望台は施設が撤去され細い踏み跡ぐらいしか残っていません。
この場所は第一展望台から2km、第三展望台から1kmの地点にあります。目安として31kmとかかれた標識から10mほど第三展望台方向に行ったところが入口になります。
夜明け前には地元の車が数台駐車しているので分かるでしょう。路肩に一列に駐車します。昼間は観光バス等交通量が多いので停められません。深夜早朝だけのポイントといえるでしょう。
特に入口は草に隠れて非常に分かりにくいです。
入ってしまえば踏み跡が分かります。
カルデラ壁の上に出たら右方向に笹薮を漕いで行くと展望の利く場所に出ます。
場所を選ばなければ15人くらいは撮影可能です。ただしカッパを着用しないと夜露でびしょびしょになってしまいます。
ここからは摩周岳が一番尖がって見えます。摩周湖が最も雄大に見える場所でもあります。
全景を写すには17mm以下の広角レンズが必要でしょう。写真は28mm。朝日はカムイシュ島方向から昇ってきます。
湖面に映った朝焼けとカムイシュ島を切りとったりもできます。
ちなみにカムイシュ島は溶岩ドームの頂上部分です。アイヌ語では神老婆を意味します。
アイヌの叙事詩ユーカラには次のような伝承があります。イヨマンテの夜、部族間の戦争があり敗れた方の部族の老婆とその孫の逃避行が始まりました。やがて二人は離れ離れになり老婆は孫を探して幾日も歩き続けました。
疲れ果てた老婆は摩周の神様に一夜限りの宿を乞い、そのまま力尽きて岩になってしまいました。それが今日のカムイシュ島であると。
それゆえ摩周湖に人が訪れると老婆は孫がやって来たのではないかと涙を流し、この涙が霧となって摩周湖を覆い隠すのだそうです。
裏摩周展望台にも行ってきました。昔は展望が利いた場所だったと思うのですが現在は木が伸びすぎて殆ど展望が利きません。
ただし清里町が数年後を目途に展望台の改修を模索しているようなのでそれに期待しましょう。
ただし近くにある神の子池は一見の価値があります。ハトイ札弦林道に入って約2kmのところにあります。
摩周湖のことをアイヌ語でカムイト「神の湖」といいます。その湧水でできた池だから神の子池と呼ばれています。