南会津「観音沼森林公園」撮影ガイド 〜浮島が神秘的 那須から近い人気紅葉撮影スポット
観音沼森林公園は福島県南会津地方にあり、周囲の森・山が水面に映り込む姿がとても神秘的です。近年、カメラマンにもよく知られるようになり、特に紅葉の時期は多くのカメラマンが撮影に訪れます。那須にも近く、首都圏から東北の紅葉撮影に行くときのルート上に位置していることも人気の理由となっています。
観音沼の魅力
観音沼森林公園は、観音山(標高1,640m)の西麓に位置する公園で、標高は900mほどになっています。周囲は広葉樹が多い森に囲まれ、紅葉の絶景スポットとして大人気になっています。整備された公園、周回できる遊歩道、駐車場から平坦な遊歩道で沼のほとりまで行くことが可能、浮島が点在、紅葉と山のシンメトリー、撮影する時に木々の間の草が少なく撮影しやすい、90台ほどの大駐車場という好条件がそろっている撮影スポットです。
観音沼森林公園へのアクセス
東北自動車道の白河ICから国道289号(甲子道路)で西方向に向かいます。長いトンネルを抜けると左側に「道の駅下郷」があります。その少し先の左側に案内が出ているので、案内のあるところを左折します。しばらく道なりに進むと観音沼に到着します。
日光方面から来る時は国道121号を会津若松方面に北上します。「会津下郷駅」を過ぎたあたりで、国道289号に入り、東方面へ進みます。「道の駅下郷」の少し手前で右側に案内が出ているので右折して道なりに進めば沼に到着します。
観音沼に近くなると左側に数台駐車スペースがあり、その横にトイレがあります。もう少し進むと90台ほど駐車可能な大きな駐車場がみえてきます。
ここからは観音沼の様子を初秋のロケハン時と紅葉時期の写真を織り交ぜながら紹介します。
観音沼のトイレから観音堂まで(西岸)は砂利の遊歩道を歩いていきます。途中から、林の中を自由に歩いて湖畔まで行けるようになっています。これが観音沼の良いところで、定番構図だけでなく、自分なりの構図を探す楽しみがあります。
観音沼の雰囲気。
遊歩道入口からしばらく歩いて行くと観音沼が見えてきます。
立ち枯れ、浮島があり、とてもフォトジェニックな場所であることがわかります。
木々が湖畔ギリギリまで迫っており、見ただけでシンメトリーが楽しめる沼であると感じます。
立ち枯れを主役に。
沼にはヒツジグサの葉が多く群生しているところがあります。
浮島と周囲の山々の様子。
少し斜面になっている場所があります。下草は綺麗に刈られ、湖畔付近まで行くことができます。観音沼の良いところは、撮影する時に撮影場所の木々の枝や葉が撮影の邪魔になりにくいというところです。
案内板とベンチ。
沼の隣には翠嶺の園、見山の園などの広場、展望台などがあります。観音沼森林公園のマップを見ると、見山の園の奥には「モミジとシラカバのコントラストが絶景」と記載されていますので、時間がある場合は沼周辺だけでなく、園の方も散策して見ると良いかもしれません。
公園には「かたらいの道」「くつろぎの道」「やすらぎの道」「ぬくもりの道」「はなやぎの道」「しあわせの道」などの遊歩道が整備されています。
翠嶺の園
翠嶺の園という広場が遊歩道の左側にあります。
遊歩道横に広場があり、ベンチが置いてありました。
水明の畔
水明の畔という湖畔に飛び出た岬のような場所があります。
ここは小さな岬になっており、沼全体を見渡すことができます。左奥に鳥居や看板が見えますが、こちらが観音堂になっています。
畔りは広いスペースになっており、三脚も多く並べることができます。
畔りの左側。
浮島にある白い幹の木が目立ちます。奥日光の小田代ヵ原にある白樺の木(通称:貴婦人)を彷彿とさせます。
対岸の湖畔には斜めになった倒れかけのような木々がありました。
撮影した場所からだと、浮島が池の半分を占めているような写真になります。
みたらせの畔
ここにはベンチとテーブルが置いてあり、開放的な場所になっています。湖畔の木々や空を映す水鏡、浮島など撮影する方向によって色々な構図で撮ることができます。
写真の左側は観音堂になっています。右側に斜めになった大きな立ち枯れがあり、紅葉の時はワンポイントになると思います。この位置から撮影すると立ち枯れの手前に浮島が入ります。
立ち枯れを大きめに撮影。
「ヒツジグサ」
湖面を埋め尽くすほどの葉。いくつかヒツジグサの花を見ることができました。ヒツジグサは末の刻(午後2時)に花を咲かせるので、この名で呼ばれています。
嶽観音堂
観音堂へと続く道。湖畔の木々が黄色く色付いてきています。
無風で鏡のようになった水面。季節の移り変わりを感じることができる写真に。湖畔近くまで寄ることができます。ローアングルで撮ると映り込みが多くなり、美しいシンメトリーに。
湖畔の木々と山の映り込み。
観音沼森林公園は湖畔が森、さらにそのすぐ奥に小高い山々があり、美しいシンメトリーを演出します。
紅葉の時の情景が目に浮かびます。
「森と空の映り込みのバランス」
森の映り込みは深い緑、空の青、そしてヒツジグサの葉の配置を考えながら構図を考えると色彩豊かな写真になります。
観音沼森林公園の解説。
白文字の後ろの濃い部分が薄くなっており、文字は読みにくいです。
嶽観音堂は十三番札所となっており、唐様式の美しい彫刻を見ることができます。この建物は坂上田村麻呂の建立と言われています。
観音堂から散策道入口へ戻る
嶽観音堂から子安観音堂へ向かう。この辺りは平坦で広い遊歩道になっています。
見晴台への道。子安観音堂の横に、見晴台へ向かう散策道の入口があります。
子安観音堂。
遊歩道脇の少し高い場所にありました。
子安観音堂周辺の道は湖畔側に木々が伸びており、沼を広く撮影する場所としては適していません。反対側から撮影した時に湖畔の木々が写るので、この遊歩道が隠れるようになっています。※望遠レンズで浮島などを切り撮る目的だと撮影できるポイントはあります。
少し歩くと湖畔の木々がなくなり、開けた場所がでてきました。
別荘?
散策道の横に建物がありました。別荘のような感じの建物です。
林の中を歩きます。
水が流れており、小さな花が咲いていました。
白い花
最後は沼から離れた砂利道を歩き、遊歩道の入口へと戻ります。
観音沼の紅葉
夜明け後、朝陽が差し込む前の静かな観音沼。
朝は寒色系の静寂さ。朝陽が当たると一変、暖色の鮮やかな世界に。
観音沼は標高約900mに位置しています。実際に現地に行ってみるとそれほど標高の高いところにあるとは感じませんでした。日光や裏磐梯の紅葉撮影の合間に寄りましたが、少し遅かったようで、落葉した木々も目立ってきていました。撮影に行くことを考えている場合、標高を意識してスケジュールを考えると紅葉が良い状態で撮影できる可能性が高くなると思います。
朝陽が沼を照らし始めます。撮影に力の入る時間帯になり、周りからもシャッター音が聞こえてきます。
夏のロケハン時にイメージしていた、浮島、山の映り込み、湖畔の紅葉、ヒツジグサの葉を撮影。当日は雲がないほどの快晴、そして無風と好条件が揃いました。
当日は人が多く対岸にもカメラマンがいること、朝陽が当たった時の山の陰影がロケハン時とは違う状況だったので、現地で臨機応変に対応することになりました。
画角を広げ、沼を多く写真に入れてみました。
こちらの写真の方が前の写真より浮島のバランスなどがわかると思います。
浮島を望遠レンズで撮影。
秋の湿原のような写真を撮れるのもここの魅力になっています。黄色と茶色になった草紅葉が美しい模様を見せてくれます。
朝陽が沼全体に当たってきた時の写真。
湖畔の葉のない林の部分がちょうど影になり、紅葉の華やかさと冬の訪れが感じられる写真になりました。
撮影後記
観音沼は以前はアクセスが悪く、東北自動車道側からは行くことができませんでした。2008年9月に国道289号の甲子トンネルが開通し、白河と南会津下郷のアクセスがとてもよくなりました。これにより観音沼へのアクセスが良くなり、さらに観音沼の美しさが知られるようになり、訪れる人が増えています。
紅葉のピークが少し過ぎた頃でしたが、朝から30名ほどの写真愛好家が撮影を楽しんでいました。
観音沼の紅葉撮影に来ている人たちに聞くと、この周辺でオススメする紅葉スポットは、会津地方の昭和村にある「矢の原湿原」ということでした。観音沼の撮影を終えた後、矢の原湿原に行ってみましたが、周辺一帯が紅葉鮮やかでとても良い紅葉撮影スポットでした。観音沼から車で1時間ほどの場所です。