十和田八幡平国立公園「蔦七沼」撮影ガイド 〜ブナの原生林に包まれた神秘的な沼めぐり

蔦七沼は奥入瀬渓谷から八甲田山に向かう途中に位置する神秘的な撮影スポットです。蔦沼・鏡沼・月沼・長沼・菅沼・瓢箪沼・赤沼の7つの沼があり周辺には「沼めぐりの小道」という散策路が整備されています。蔦七沼はブナの原生林に囲まれ、新緑・紅葉の季節は特に美しく、その姿が水鏡に映り込みます。紅葉時期の蔦沼の朝焼けはブナ林と水面が真っ赤に染まり、その奇跡の光景を見ようと多くのカメラマンがこの地を訪れます。

蔦七沼について

蔦七沼は十和田湖・奥入瀬渓流から八甲田連峰へ向かう国道103号の途中にある湖沼群です。七沼の中で最大の蔦沼は紅葉の時期の早朝、沼と周囲の山々が燃えるように真っ赤に染まり、その光景を見ようと多くのカメラマンが訪れる場所になっています。また、月沼には大きな立ち枯れがありフォトジェニックな沼になっています。

今回は蔦七沼の遊歩道「沼めぐりの小道」の紹介です。夏・紅葉シーズンの写真を織り交ぜながら蔦七沼の魅力をお伝えします。


沼めぐりのスタート

[ 蔦温泉 売店 ]

蔦沼の入り口は「蔦温泉」になっており、お土産や駐車場、トイレなどの設備が充実しています。この周辺は豪雪地帯となっています。蔦温泉は日本百名湯に選定されています。

[ 蔦温泉 トイレ ]

散策路に入るとトイレはありませんので、散策前にこちらを利用しましょう。

蔦温泉

[ ススキ ]  蔦沼への玄関口 蔦温泉の日帰り温泉
Camera : NIKON D7100 | レンズ焦点距離 : 25mm(APS-C : 17mm)

蔦温泉の日帰り温泉施設。「久安の湯」は湯船がひとつのため男女時間入れ替え制になっています。

[ 蔦沼の解説 ]

ビジターセンターから反時計回りに蔦沼(つたぬま)→鏡沼→月沼→長沼→菅沼→瓢箪沼(ひょうたんぬま)の順に巡る1時間ほどのコースです。ゆっくり撮影しながら回っても3時間ほどなので、半日コースと考えておけば良いと思います。※赤沼は6つの沼から2kmほど離れた場所にあります。
蔦沼の散策路は十和田市の「蔦沼周辺マップ」に詳しく記載されています。

蔦温泉ビジターセンター

[ 蔦温泉ビジターセンター ]

遊歩道入口には綺麗な「蔦温泉ビジターセンター」が設けられています。蔦七沼の散策路、動物、植物などの案内があります。蔦温泉を終の棲家とした大町桂月についての紹介もあります。蔦沼周辺は野鳥保護区域になっており、バードウォッチングも楽しむことができます。

[ 蔦沼 遊歩道 ]
Camera : NIKON D800E | レンズ焦点距離 : 16mm(APS-C : 11mm)

ビジターセンターより散策路を歩き蔦七沼最大の「蔦沼」へ向かいます。しばらくの間は小さな川に沿って歩いてきます。蔦沼の湖畔は木道が設置されており、苔むしたブナ林が心地よい空間になっていました。

蔦沼

[ 撮影場所 ]  水面に沿って遊歩道があります。幅もあり三脚を使用して撮影できます。

ブナ林を抜けると湖畔に沿うように一本の長い木道があります。透明度が高く、空や雲の様子によって景色が刻々と変化していき、長い時間見ていても飽きることはありません。

[ 深静 ]  夏の深い緑に包まれた蔦沼。湖畔の木々が美しい。

夏の深い緑の頃も、神秘的な雰囲気を醸し出していました。


[ 蔦沼 と大岳 ]  八甲田山系に位置する蔦七沼は青森県屈指の紅葉スポット。遊歩道が整備されており1時間もあればすべての沼を散策できる。中でもブナ林と八甲田大岳を映しこむ蔦沼は最も人気が高い。
Camera : NIKON D7000 | レンズ焦点距離 : 42mm(APS-C : 28mm)

ブナ林と八甲田大岳を映しこむ蔦沼は最も人気が高い撮影ポイントです。朝焼けは、板張りの遊歩道から撮影することになるので、早朝の場所取りは大変です。紅葉時期は10月中旬となっています。

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蔦沼から鏡沼までは登りになっており、15分ほど歩きます。

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蔦沼の中間地点まで来ました。蔦沼は湖畔の木道からの眺望は良いですが、散策路途中からは蔦沼を俯瞰できる場所は見当たりませんでした。

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鏡沼まであと300mです。蔦沼の散策路は所々に距離が書かれた案内板が立っており、安心して散策を楽しむことができます。整備された道なので、迷うことはほぼ無いと思います。

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ブナ林の中の階段を登っていきます。

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苔の生えた石があり、森の雰囲気を感じることができます。

鏡沼

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鏡沼は蔦沼の中でも小さな沼です。沼のほとりまで行くことができ、木々に囲まれた神秘的な沼の写真を撮ることができます。

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この流れは上の月沼から流れ出たもので、少し下ると地面を潜って伏流水となり、下の蔦沼に湧き出していると考えられています。この地下の流れは赤倉岳の崩壊によって造られました。鏡沼は人造で作られた沼になっています。

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遊歩道から鏡沼を望む。

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石段と小さな流れ。
石段の横に小さな川が流れています。

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真夏でも森の中は涼し気で、思ったよりも快適に散策できました。

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月沼

[ 月沼 ]  遊歩道を反時計回りに散策すると蔦沼、鏡沼の次に出てくる小さな沼。ブナに交じってカエデの赤や黄色がアクセントを与えていた。

蔦沼、鏡沼の次に出てくる小さな沼。ブナに交じってカエデの赤や黄色がアクセントを与えていました。中央奥の立ち枯れが印象的です。

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夏でも立ち枯れは圧倒的な存在感を示しています。

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沼全体の様子はこの写真のようになっています。遊歩道側の一部しか入れないので、構図は限られます。左右に動いて印象的な立ち枯れをどこに配置するかがポイントになると思います。

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月沼から長沼へと向かいます。月沼へ0.1km、長沼へ0.5kmという案内板がありました。

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散策路の地図に現在地が示されており、今いる場所を確認することができます。

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長沼が見えてきました。

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木々の向こうにエメラルドグリーン色の沼が見えます。

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沼から高い位置に遊歩道が設けられており、沼を見下ろす感じになっています。このあたりに沼を俯瞰できる場所はありませんでした。

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十和田・八甲田周辺はブナ林が多く、ここ蔦沼散策路でもブナを楽しむことができます。

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月沼から500mほど歩いてきました。次は長沼を経由して菅沼へ向かいます。

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蔦沼散策路「沼めぐりの小路」には長沼・菅沼にあずまや(休憩舎)があります。

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森の中に綺麗に整備されたあずまやがありました。

長沼

[ 長沼 ]  月沼の次に出てくる沼。湖面へのブナの落葉が秋の終わりを感じさせていました。
Camera : NIKON D7000 | レンズ焦点距離 : 33mm(APS-C : 22mm)

月沼の次に出てくる沼。湖面へのブナの落葉が秋の終わりを感じさせていました。

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湖畔は広いスペースになっていました。

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雲が多い日でしたが、奥にうっすらと山の稜線が見えました。

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湖畔からあずまや方向を見ています。

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長沼をすぎて、菅沼の分岐まで600mほどになりました。菅沼はメインの散策ルートから5分ほど下って湖畔に出るようになっています。

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この辺りは石で階段が作られて整備された道になっています。

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散策路のところどころにベンチと椅子が設置されています。ブナの原生林に囲まれた雰囲気のある場所でした。

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散策路の木々の間から見えた沼の様子。

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平坦な道が続きます。

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蔦野鳥の森は菅沼をはじめとする沼が点在し、水辺を好む野鳥が数多く生息しています。
ヤマセミ、カワセミ、アカショウビン、カルガモ、マガモ、カワガラス、キセキレイ、ミソサザイ、オシドリ、ホオジロガモなどの野鳥を見ることができます。

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メインの道から菅沼湖畔へ降りる分岐地点です。ここからゴールの蔦温泉まで400mとなっています。

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湖畔へと階段が続いています。水面が近くなってきました。

菅沼(すげぬま)

[ 菅沼 ]  菅沼の紅葉。紅葉の美しさだけなら蔦沼に匹敵する。
Camera : NIKON D7000 | レンズ焦点距離 : 37mm(APS-C : 25mm)

菅沼の紅葉。紅葉の美しさだけなら蔦沼に匹敵します。

[ 菅沼湖畔 ]  湖畔沿いのブナ林は紅葉の見頃を迎えており、それを映す湖面が静寂さを際立たせていました。
Camera : NIKON D7000 | レンズ焦点距離 : 57mm(APS-C : 38mm)

湖畔沿いのブナ林は紅葉の見頃を迎えており、それを映す湖面が静寂さを際立たせていました。

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菅沼のあずまや(休憩舎)です。周辺を散策できる道がありました。

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菅沼をあとにして、ひょうたん沼へと向かいます。5分程度でひょうたん沼に着きます。

瓢箪沼(ひょうたんぬま)

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散策路最後となる沼、瓢箪沼に到着です。この沼は以前はひょうたんの形をしていたことから、この名が付きました。現在では枯れた植物や流れ込んだ土砂により水がかなり少なくなっています。スゲ、ヨシ、ヤマハンノキなどが茂り、モリアオガエルの生息地になっています。

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水際まで近づくことができるので、紅葉の時期の落ち葉と水辺の撮影にはよい場所かもしれません。

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瓢箪沼のほとりには建物がありました。

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ひょうたん沼のすぐ先は蔦温泉の駐車場とビジターセンターがある場所です。

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写真の建物の奥方向がひょうたん沼で、この写真の奥から歩いてきます。写真を撮影した場所は駐車場です。

蔦七沼 撮影後記

蔦沼は紅葉時期の朝陽が有名ですが、夏・紅葉時期ともに一日を通して素敵な風景に出会える場所です。遊歩道が整備されており、1時間ほどの周回コースなので気分的にも安心して撮影に取り組むことができます。紅葉は10月中旬から下旬がベストシーズンとなっています。

撮影スポット詳細

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