「美の山公園の桜」撮影ガイド 〜秩父の街並みと色彩豊かな山桜
美の山は秩父を代表する桜の名所で、ソメイヨシノをはじめとする8,000本もの桜が咲き競います。この山は秩父地域では珍しい独立峰で、秩父の街並みや奥秩父の山並みの眺望を楽しむことができます。ソメイヨシノの花見場所としては良く知られていますが、ヤマザクラの名所としてはあまり知られてなく、ゆったりと撮影できる穴場の撮影スポットです。ヤマザクラ、奥秩父の山々、両神山、武甲山、秩父の街並みと被写体が数多く揃っています。桜だけでなく、夜景スポットとしても有名です。近年、秋の雲海スポットしても知名度が上がってきています。
美の山公園について
美の山公園は埼玉県秩父市と皆野町にまたがる標高581mの蓑山山頂部一帯に桜の名所を作ろうと、12年の歳月をかけて整備を行い、昭和54年に「美の山公園」として開園しました。ここは秩父地域では珍しい独立峰であるため、山頂からの眺望は素晴らしく、奥武蔵、外秩父、奥秩父の山々を一望することができます。また、季節の移り変わりとともに、ヤマツツジやアジサイなどの植物や野鳥の観察を楽しむことができます。4月中旬〜下旬にかけてソメイヨシノ、ヤマザクラ、サトザクラが咲き誇ります。5月中旬からはヤマツツジ、7月になるとアジサイの名所として多くの人々が訪れます。
入口展望台(秩父の街並みと武甲山の撮影ポイント)
秩父市街地方面から美の山山頂へと車で登ってくると、行き止まりがアスファルトの駐車場になっています。その後ろ側には舗装されていない広い駐車スペースが設けられています。
駐車場から階段を登ると入口展望台があります。
入口展望台の横に大きな桜の木があります。展望台の下の道路沿いはソメイヨシノの桜並木が続いています。ヤマザクラが満開の時期には、ソメイヨシノは葉桜っぽくなってしまっています。
入口展望台からは秩父の名峰 武甲山と秩父の市街地が一望できます。この展望台は駐車場に直結しているので、夜景撮影初心者におすすめの撮影ポイントです。展望台が綺麗に整備されている、車にすぐに戻れる、秩父の街明かりで明るい、という好条件が重なっており、安心して撮影することができます。
入口展望台の奥には広いスペースが広がっています。
広場には公衆トイレがあります。
東展望台(群馬・栃木方面)
トイレの裏手(入口展望台から広場を歩いて右奥)には東展望台があり、秩父のなだらかな山並みを一望することができます。
この展望台からは「天空のポピー」で有名な秩父高原牧場、二本木峠、遠くには栃木・日光の男体山、群馬の赤城山まで見渡すことができます。
奥の山の上部に見えるのが秩父高原牧場(天空のポピー畑)です。里山の雰囲気を味わうことができます。
東展望台の左奥にヤマザクラが多数見えます。広場の奥から始まる遊歩道に行けば、桜を近くから撮影することができます。
広場の中央には、写真等を展示している建物があります。
山頂展望台(奥秩父の山々と秩父市街地の眺望)
広場の奥には「山頂展望台」があります。
こちらも入口展望台と同様に、綺麗に整備されています。
こちらからは奥秩父の山々がよく見えます。岩が特徴的な両神山、日本百名山の甲武信ヶ岳、秩父の名峰 武甲山などが連なります。展望台の下にはヤマザクラが多数植えられており、ヤマザクラと秩父の街並み、遠くの山々を入れた構図で撮影を楽しむことができます。
展望台の下は開放的なスペースが設けられています。
両神山は山の形が特徴的で、桜と一緒に撮影すると良いアクセントになります。桜と山の間は田園地帯になっており、美しい田舎の風景を撮影することができます。
武甲山と秩父の街並み。
夕暮れ時の山頂展望台は逆光に輝く桜がとても美しい。両神山がシルエットで浮かび上がります。
ヤマザクラの俯瞰ポイントへ
広場の奥から始まる遊歩道に入ります。綺麗に舗装されていて歩きやすいです。
遊歩道の横で味のある桜の木が花を咲かせていました。遠方には秩父高原牧場(天空のポピー畑)が見えます。秩父市街と反対側はなだらかな山並みになっており、桜の背景にとてもよく合います。
ヤマザクラとゴルフ場。春の里山の風景に心が癒されます。
早朝には山並みの後ろから太陽が昇ってきます。
ヤマザクラ撮影のメインとなる撮影ポイントです。木の間が綺麗に整備されており、春の若々しい緑と色彩豊かな山桜の構図が絵になります。奥行き感があり、とても良い撮影ポイントでした。
望遠レンズを使うと、迫力ある山桜を狙うことができます。背景に濃い色を持ってくると山桜がより引き立ちます。後ろの山並みや街並みを少し入れると、遠近感が出て、広がりのある写真になります。
風が吹くと花びらが空へと舞い上がっていました。撮影時間があるときは、ここの場所で桜吹雪を狙ってみても良いでしょう。
一本一本、花の色が違うので、重ね方によって幾つもの写真が出来上がります。色の組み合わせ、遠近感、光の具合により、一日を通して撮影を楽しめるポイントでした。
ヤマザクラがたくさん見える場所を過ぎると、少し広い場所にでます。
ヤマザクラが満開の頃、遊歩道脇ではツツジが咲き始めていました。もう一週間もすれば、ツツジの撮影に再訪しても良さそうな雰囲気でした。
花の森
このあたり一帯は花の森となっており、四季を通じて様々な花や植物の鑑賞を楽しむことができます。
シャガ、アヤメ、カキツバタ、キショウブ、キボウシ、ノハナショウブ、ヤマユリ、オニユリ、ユウスゲ、ヤブカンゾウ、ナツスイセン、キツネのカミソリ、ヒガンバナ、リンドウ、ツワブキなどが植えられています。
遊歩道からヤマザクラの中へと降りていく階段があります。ヤマザクラの中も遊歩道になっており、近くで桜を鑑賞できます。美の山公園は広大な風景とヤマザクラを絡めた撮影ができるので、下の遊歩道に行くカメラマンはほとんどいませんでした。上から俯瞰したり、望遠で一部をアップで撮影するというスタイルでした。
遊歩道の奥にはピンク色の若々しい桜の木が植えてありました。
桜の木の近くにはあずま屋があり、休憩することができます。あずま屋の下にはヤマザクラが広がっており、観桜しながらの休憩が可能になっています。
あずま屋をフレームにして桜風景を撮影。あずま屋の屋根に落ちている桜の花びらが良い味を出しています。
オレンジに色づいている葉を主役にすると、秋の紅葉のような写真も撮れます。
美の山からは秩父市街地が一望できます。桜だけでなく、街の風景も撮れるのが美の山の素晴らしいところです。
美の山に登る道は狭く、車のすれ違いに気を使います。一度山頂まで行ってしまうと、食べ物・飲み物などの調達はできないので、美の山に行く前に食料などの調達は十分にしておきましょう。山頂の駐車場で車中泊をするときなどは、特に事前準備をしっかりしていきましょう。朝、日中、夕暮れ、夜景と休む間があまりないほど撮影に取り組むことができる場所です。
ここから下は「美の山」周辺、秩父地域のおすすめ撮影スポットです。
深山の花園
美の山のヤマザクラと同時期に楽しめるのが深山の花園の桜。ここは農園が運営していますが、一般にも無料で開放しており、桜を楽しむことができます。
清雲寺のしだれ桜
清雲寺は埼玉県秩父市にある寺院でしだれ桜の名所です。「清雲寺のしだれ桜」は樹齢600年、樹高15m、幹周り3mの巨木で埼玉県の天然記念物に指定されています。境内には数十本のしだれ桜の古木があり、これほどにしだれ桜の古木を見れるところはそうはないでしょう。
法善寺のしだれ桜
法善寺は埼玉県秩父郡長瀞町にある寺院で「与楽の地蔵ざくら」「弥陀のさくら」という2本の枝垂れ桜が町指定の天然記念物になっています。
天空のポピー畑
美の山から見える天空のポピー畑(秩父高原牧場)は高原の丘に1,500万本のシャーレポピーが咲くことで有名です。丘陵に咲き誇るポピーを見上げると、まさに天空に浮かぶポピー。夕陽に染まるポピー畑は絶景。