信州・小谷村「雨飾高原」撮影ガイド。〜樹木の芽吹き、新緑に包まれる「鎌池」ブナの根開け
長野県北安曇郡小谷村にある「雨飾高原」日本百名山に選定されている「雨飾山」の南斜面、標高1,200mに広がる高原。深い谷の上にある台地で、自然豊かな山々に囲まれている。
代表的な撮影スポットである「鎌池」は紅葉・新緑の撮影スポットとして知られている。
今回は残雪とブナの新緑や根開けの撮影をする為、新緑の季節に鎌池を訪れた。
雨飾高原・鎌池へのアクセス
・白馬村から流れる「姫川」に沿って走る「国道148号」を北上。
・大糸線を左手に見ながら役場などがある小谷村の中心部を通過。
・宿泊施設「サンテインおたり:下里瀬(くだりせ)温泉(日帰り入浴も可能)」を過ぎトンネルへ。
・トンネルの途中にある「小谷温泉口」の信号を右折し「長野県道114号」へ。
・標高500m「中谷川」周辺に広がる田園風景の中を走る「長野県道114号」で標高900m「小谷温泉」を目指す。
・里山を抜けると谷深く自然豊かな風景に変化、ループ橋で標高を上げ「小谷温泉」を過ぎると「雨飾高原」に到着。
雨飾高原までのルート、周辺施設、撮影スポットは下記地図をご覧下さい。
松尾川「尾丸の滝」
「小谷温泉」を過ぎたヘアピンカーブから見える「尾丸の滝」水量が豊富な雪どけの時期に見ることができる「幻の滝」午後は深い谷に光が入り立体的に見えます。
「松尾川」が断崖をくだり、谷底を流れる「中谷川」に合流しています。
写真左上には「妙高高原」と「雨飾高原」を結ぶ林道が走っています。
残雪が残るブナ林。
新潟県十日町市にある有名なブナの根開け撮影スポット「美人林」をコンパクトにしたような雰囲気。
ブナの下草が刈られて歩きやすいように遊歩道が整備されている。光が入りやすい場所なのでブナの撮影に適している。
上信越高原国立公園。
「妙高戸隠連山国立公園」は「上信越高原国立公園」から分離独立した国内32番目の国立公園で、2015年6月時点で日本で最も新しい国立公園である。新潟、長野の県境にまたがり、雨飾山・戸隠山・妙高山・飯縄山などが含まれる。
小谷温泉広場案内図。
小谷温泉広場は薬草園・高山植物園・山菜園のゾーンに分かれ、ブナ林が美しい場所。駐車場にはトイレ・バーベキューガーデンがある。
付近には自然休養村サブセンター・雨飾荘と雨飾高原露天風呂があり、登山やカメラマンの憩いの場になっている。
雨飾高原にはつぶれ池、鎌池、ナタ池があり、林道鎌池線をさらに進むと湯峠につながり、姫川温泉へ至る。
コンパクトにブナ林を散策することができ、ブナの根元付近に雪が残っている場所では、根開けブナの写真が撮れる。
綺麗なトイレ。
板張りの外観の整備されたトイレになっており、外には水道が設けられている。
案内板。
2〜300m先には雨飾荘と露天風呂があり、3.5kmほど進むと日本百名山・雨飾山の登山口、雨飾高原キャンプ場、鎌池がある。
雨飾高原露天風呂の入口。
緑が美しいブナ林の中へと歩いていく。
雨飾荘と分岐。
雨飾荘の前で鎌池・雨飾山方面(姫川温泉)方面と、妙高高原方面に道が分岐している。
標高900mにある雨飾山登山客・カメラマンなどで賑わう一軒宿の雨飾荘では、宿泊時の夕食には地元産の食材が中心の里山料理が提供されている。
内湯(奥の湯)はナトリウム炭酸水素塩泉で毎分240ℓの豊富な湯量を誇り、日帰り入浴は(大人)700円。
林道 妙高小谷線の起点。
雨飾荘付近には乙見峠→笹ヶ峰牧場→苗名滝→野尻湖方面へ抜ける林道である妙高小谷線の起点がある。
※2015年はトンネルの補修工事を行っており妙高市への通り抜けはできない。笹ヶ峰までは行くことができないが、途中の金山の登山口までは通行可能になっている。
林道・妙高小谷線は幻の滝の左上の崖の上を走っていく林道で、険しい谷に沿って妙高方面へ向かう。途中で舗装道路は終わり、砂利のダートに変わる。
途中の乙見峠は標高約1,500mあり、この付近からは白馬岳と大渚山の眺望が良い。
澄み渡る空と雨飾山。
樹々が芽吹き、色鮮やかな新緑に包まれる雨飾高原。鎌池の手前のつぶれ池より日本百名山の雨飾山(1,963m)を望む。
雨飾山は長野県と新潟県の県境にまたがり、山頂からは360度の素晴らしい眺望が広がる。山頂は双耳峰になっており「猫の耳」と呼ばれ、神の山として昔から人々に親しまれている。山頂に雨乞いの祈願の祭壇を祀ったことがこの山の名前の由来である。
爽やかな空に印象的な雲が浮かんでいた。この雲は北アルプスで発生した吊るし雲。
鎌池の入り口にある「鎌池ブナ林亭」
深い雪に覆われて春を待つ鎌池の駐車場とブナ林亭。ブナの根開けを見ることができた。
鎌池は長野でもブナ林の美しい場所で、ブナの新緑、ブナの根開けの撮影スポットとして知られている。
シーズン中(6月中旬〜10月末日)は食堂で蕎麦などの軽食が可能になっており、地元の特産品が販売されている。駐車場があり、鎌池散策の拠点である。
近くにある雨飾高原キャンプ場は雨飾山の登山口となっている。
2015年は新緑が早く、残雪が多かったため、残雪と新緑を同時に撮影することができる貴重な年であった。
前年の地震で崖崩れが発生したため、鎌池付近まで車で入ることができず、雨飾荘から鎌池まで歩くことになった。
新緑と空を映す水鏡。
鎌池の遊歩道から西側を望む。
朝日がこちら側の斜面を照らし、水面が穏やかな早朝は、水鏡が森を映し出す。
残雪が残るこの時期は、背の低い植物が雪の中にあるため遊歩道以外の場所を自由に動き回ることができ、晴れた日には眩しいばかりの雪、新緑、空が目の前に広がる。
池の一部を切り取った紅葉の鎌池の写真を目にすることが多いが、鎌池の周囲は開けており、空を入れた爽快感溢れる風景も撮影可能になっている。
雪解けの鎌池。
浮島から南側を望み、残雪と新緑を一緒に撮影。鎌池周辺の森はよく光が差し込む。
東側の森。豪雪地帯の雨飾高原、冬の鎌池は深い雪に覆われる。
ブナの巨木。
日当たりが良く、ブナの根元が見えるような場所があったので、新緑のブナの近くに立ち、空を埋めつくすような新緑を撮影。残雪期は背の低い植物が雪に覆われるので、ブナの根元まで行くことができる。
早春の鎌池。
鎌池の北側から南を望むと鎌池の大部分が氷に覆われていた。
手前に木の枝や幹を入れ、遠近感を強調。開放的な池であることがよくわかる。
新緑のブナを映す水鏡。
水面が穏やかな時はシンメトリーになる。鎌池の水は透明度が高く、池の底に沈む朽ちた木を見ることができた。
新緑ドーム。
鎌池の北側の山から流れ込む水でできた雪洞。この上を歩く時は注意が必要だ。
深い森と空を映す水鏡。
水の流れがある北側だけ氷が解けていた。鎌池は鎌の形をしている池なので途中から左に曲がっている。
鎌池は遊歩道で一周できるようになっているが、この時は雪が多すぎてこれ以上先に行くことができなかった。
新緑天井。
鎌池周辺はブナ林が広がる。ブナの根開けと根曲ブナ。雪が解けるとブナの根元には行けなくなってしまう。
雨飾高原「露天風呂」
既出の雨飾荘付近には撮影の帰りに立ち寄りたい「雨飾高原露天風呂」がある。
雨飾高原露天風呂の入り口。
新緑のブナ林の中を進んでいく。道路、案内板が綺麗に整備された場所である。
この露天は雨飾荘が管理をしている温泉で、雨飾荘の駐車場に車を停めて歩いて50mの場所にある。
公衆トイレ。
男女別に別れた綺麗なトイレが設置されている。
温泉の注意書き。
男湯と女湯に分かれるところには入浴の注意事項の案内板がある。
男湯の入り口と脱衣所。
右側の板張りの建物が脱衣所、左側が露天風呂。
ここはブナに囲まれた森の中にある。雪の重みで変形したブナの根が所々に見受けられる。
湯舟のまわりは深い森に包まれた自然豊かな空間になっている。湯舟の上にはもみじの木が枝を伸ばし、紅葉の時期の露天風呂は赤の紅葉とブナの黄金色に染まります。
脱衣所。
ブナの森に包まれた脱衣所。
この露天風呂は雨飾荘が管理しており、管理協力金を協力金箱に入れて入浴する。
男湯は10人ほどが入浴できる大きさになっており、新しく綺麗な湯舟。洗い場は無いが、桶が用意されてる。
夕方には西日がよく差し込んで雰囲気のある露天になっていた。
鎌池の新緑は開放感に溢れ、人気の被写体であるブナの根曲の写真を撮ることができる場所。
帰りには天然温泉で疲れを癒すことができるので、充実した写真撮影と癒しの時間を楽しむことができると思います。
鎌池の紅葉は下記の記事をご覧ください。
信州・小谷村「鎌池」撮影ガイド。〜 錦秋に包まれる神秘的な水鏡