富士山撮影スポット「山梨百名山・大蔵高丸」〜新緑の秀麗富嶽十二景
山梨県大月市・甲斐市の境にある大蔵高丸(おおくらたかまる)。標高1,781メートルのこの山は富士山の撮影スポットとして人気があります。
登山の起点となる湯の沢峠まで車で林道を登れば、駐車場から35分の登山で山頂に立つことができます。
大蔵高丸からは左右の稜線が綺麗な富士山の姿を望むことができ、新緑・紅葉の季節は特に美しく、また条件が合えば雲海と富士山の写真も狙えます。
登山道が整備されており行程も短いので、山岳写真初心者にオススメの撮影スポットです。
若葉が萌える大蔵高丸からの秀麗富士。
眩しいほどの目の前の新緑、三つ峠・御坂峠・新道峠などがある御坂山系の緑の陰影が春から夏への季節の移り変わりを感じさせてくれます。
大蔵高丸山頂より大月方面を望む。
大月や丹沢の山々が幾重にも連なり、その間を幾筋もの雲が流れ、まるで水墨画のような情景が雲海を彷彿とさせます。
登山の起点となる湯の沢峠駐車場までのアクセスと、頂上までの登山道の様子を写真付きで紹介します。
甲府方面からですと国道20号線を八王子方面に向かいます。
JR中央本線「甲斐大和駅」を少し超えたところに「景徳院入り口」の案内板があるので、そこを左折して県道218号線に入ります。
道なりに行くと「やまと天目山温泉」を越えたところに分岐がありますので、右側に進みます。
落ち葉が積もっていて1〜1.5車線に狭くなってしまっています。
左側に側溝がありますが、落ち葉で隠れているところが多いので、運転には気をつけたほうが良いです。
比較的道路は整備されており綺麗です。
しかし、途中の側溝の蓋が無くなっているところがありました。
林道は常に状況が変わるので注意が必要です。
長い林道を登りきると、湯の沢峠との分岐がでてきます。
ここまでは一本道で迷わず来ることができます。
分岐はこの写真のようになっています。
大蔵高丸に行くには、湯の沢峠の駐車場を利用するので、ここを右方向に進みます。
(この分岐を左方向に進むと、日本百名山の大菩薩嶺に行くことができます。)
分岐地点にあった案内板です。
標高700mの国道20号から、14.5kmの距離をかけて1,600mまで登ってきました。
山梨県にある林道は車で高度を上げることができる場所が多く、写真撮影にとってはありがたい地域になっています。
分岐から湯の沢峠まで残り2kmになります。
分岐からは未舗装の砂利道(ダート)になり、道幅も狭くなります。
すれ違いも難しい場所が多いので対向車に注意しましょう。
路面が平坦で綺麗な場所もありますが、石が転がってデコボコしているところもあるので、ゆっくりと走行しましょう。
湯の沢峠の駐車場です。
10台程度の駐車スペースがあります。
朝4時に到着した時には車が数台停まっていました。
駐車場にあるトイレです。
環境に配慮したバイオトイレになっていました。
水道設備がありましたが、雨水を利用する仕組みだったため、この時は水が使えませんでした。
湯の沢峠周辺案内図
富士山撮影スポットの「大蔵高丸」と「ハマイバ丸」に登山する時は、湯の沢峠からが便利です。
湯の沢峠一帯の天然林と広い草原は、黄金沢山自然保存地区に指定されており、この付近ではノイバラ・コウゾリナ・シシウド・ヤマオダマキ・オオバギボウシ・シモツクソウ・キンボウゲ・シモツケなどの花々を見ることができます。
駐車場からの登山道入り口です。
車で標高を上げてきたので、スタート地点から稜線付近です。
木々の上には青空が広がり、開放的な登山道になっています。
初夏の新緑が美しく、富士山への期待もあり、軽快なスタートを切りました。
登山道入り口から1分程度で、湯の沢峠の分岐になります。
右に進むと「大蔵高丸・ハマイバ丸」方面です。
左に進むと「黒岳・白谷ノ丸」方面になっています。こちらは大菩薩嶺まで繋がっています。
奥に進むと「真木」方面になります。
今回は峠を右手に進みます。
この付近からは笹の登山道を進む感じになっています。
登山道は綺麗に整備されていて、カメラ装備を持っていても歩きやすいです。
笹と木々の中を歩きますが、空が開けていて明るい感じです。
しばらく歩いて行くと木々が無くなり、視界が広がります。
快晴の青空が広がっていたので、富士山眺望への期待で胸が高まります。
途中に案内板があるので、登山道は安心感があります。
登山道の左右には、ロープが貼られて入れなくなっている場所があります。
正面が大蔵高丸です。あの山の頂上まで登ることになります。
ここからはまだ富士山は見えません。
登山道を歩いていると突然扉が出てきて驚き、何かと思い扉をよく見てみると、注意書きが貼られていました。
注意を読んでみると、動物による食害から守るために、柵と扉が設置されているということです。
注意書きの内容は以下のようになっていました。
・扉は開けたら必ず閉めてください。
・扉や柵を破損するような行為は絶対にしないようにしてください。
・扉および柵の破損を見かけたときは甲府市役所観光交流課まで連絡してください。
扉の中には「湯の沢のお花畑」という表示がありました。この辺一帯では、季節によりさまざまな花が楽しめそうです。
ここには大きな岩があり、良い休憩スペースになっています。
お花畑の中から大蔵高丸方面を望む。
お花畑を出るときには再び扉が現れます。扉の閉め忘れに注意しましょう。
扉を閉めて前に進みます。
すると、これまでは青空が見えるなだらかな稜線上を歩いてきましたが、雰囲気が変わり、いきなり木々が生い茂った登山道になりました。
ここまでは稜線歩きで軽快に来ることができました。
しかし傾斜が急になってきても、同じようなペースで進んでしまい、息が切れてきました。
ここから山頂までは急なつづら折りの道です。
新緑の中で休んでいると汗も引いて、再び登り始めることができました。
富士山を見たい!というモチベーションが高いので、休憩を繰り返しながらもこの区間を登りきることができました。
30分の登山ですが水分は多めに持って行ったほうがいいです。
辛い登りを抜けると「大蔵高丸」の頂上に到着しました。
遮るものが全くないので、360度見渡すことができる場所でした。
山頂に到着した時は誰もいませんでした。
駐車場には何台も車があったのに、どうして頂上に誰もいないんだろう?と不思議に思いました。
しばらく山頂で写真を撮影していると、後から数人のカメラマングループがやってきました。
ベテランカメラマンと会話をしていると
「昔は山頂にロープが無かったので、自由な構図取りで富士山や植物などの前景を撮影できたけれど、今はロープで囲われた中での撮影になってしまい、自由度は少なくなってしまった」
「今年はハマイバ丸のミツバツツジが見頃が早く、カメラマンたちはハマイバ丸まで足を伸ばしているんじゃないか?」
という話を聞くことができました。
大蔵高丸の山頂にカメラマンが居ない理由がわかり、この後、私たちもハマイバ丸のミツバツツジを見に行ってみることにしました。
秀麗富嶽十二景・三番山頂の「大蔵高丸」は標高1,781mで山梨百名山に選定されています。
看板をよく見てみると、左下にQRコードが貼られていました。
読み込むと特典画像が貰えるようです。
富士山撮影スポットとして有名でカメラマンが詰め掛けるのか、看板に撮影時の注意書きが書いてありました。
この美しい風景や植物を大切に守っていくことは重要だなと感じています。
富士山の眺望が目当ての登山ですが、山頂から南東方向に目を向けてみますと、なだらかな山々の稜線が横に這い連なる美しい光景が広がっていることに気付きます。
刻々と変化を遂げる薄い雲が谷に流れ込む風景が高度感を感じさせます。
大蔵高丸は五百円札の裏側に印刷されていた富士山の絵画のモデルとなった写真の撮影スポットである雁ヶ腹摺山から近く、目の前に広がる情景と爽やかな風に、長い時の流れと自然の雄大さを感じると、登山の疲れが癒されました。
奥の稜線には桜の季節に登った三つ峠山の電波塔が見え、真北から見る富士山の左右の稜線の美しさには改めて感動を覚えました。
例年より残雪の少ない富士山の山頂に雲が巻きついているのを見ると、笠雲になってくれれば良いなぁという期待を持ってしまいます。
大蔵高丸からハマイバ丸へ続く。
大蔵高丸の山頂には大きな岩が幾つかあり、腰をかけて休めるようになっています。ロープ内であれば自由に三脚を立てられ、富士山と手前の山々の稜線の位置などを考えながら構図を取ることができます。山頂付近は周回できる道になっているので、そちらを歩いて手前の木々を前景に入れるなどの構図を探してみるのも良いでしょう。
山頂での撮影を終えたら、草原の中のなだらかな道を歩き出し、より富士山が近くに見えるハマイバ丸に向かいます。