新緑の森にレンゲツツジが咲き誇る「乙女高原」〜関東富士見百景からの富士山
山梨県の牧丘町にある乙女高原のレンゲツツジを見に行ってきました。
山梨県の甲府盆地と埼玉県の秩父を結ぶ「雁坂トンネル」の山梨側の出口から甲府盆地へ下る途中からアクセスできます。
標高1,700mの高原のスキー場跡の斜面にレンゲツツジの大群生があります。途中の道路の両側にもレンゲツツジがたくさん咲いていました。
レンゲツツジの斜面にある遊歩道を登ると関東富士見百景の展望台があり、真南方向に富士山を見ることができます。
富士山のビュースポットとしてもオススメの場所です。
乙女高原の見どころマップです。
今回は右側のロッジ周辺に広がる乙女高原エリアを訪問しました。
乙女高原のロッジ付近からは「黒平→昇仙峡」「帯那山→甲府」へ、焼額峠側からは「柳平(乙女湖)」「塩平」へと道が続いています。
乙女高原のみどころ案内板です。
一番知名度が高いのは乙女高原のレンゲツツジです。
その他、下記のような見所があります。
1.ブナじいさん
推定樹齢400年、1960年代に周りのブナは伐採されたがこの木だけ残りました。
2.御料局三角点
御料局とは明治時代初期に御料林を管理した宮内庁内の部局です。ここはその当時皇室財産でした。
3.関東富士見百景
乙女高原には富士山がよく見える場所が何箇所かあります。富士山は真南に見えます。
4.湿地の谷地坊主
ゲゲゲの鬼太郎の頭を思わせるような草の株を言います。スゲという植物です。
5.湿地の木道
水辺の植物を「上から目線」で観察できます。
6.アズマシャクナゲ
大窪山山頂付近はアズマシャクナゲの群生地になっており5月下旬から6月上旬に花が咲きます。
7.炭火焼き釜の跡
周辺の森の中で、ときどき炭火焼きの跡が見つかります。上から見るとU字型にくぼんでいます。
その他・・・
「22種のスミレ」
環境や季節によって見られるスミレが違います。
「カンバ三兄弟」
シラカバ・ダケカンバ・ヤエガワカンバの3種類があります。カンバ類は日光を十分に浴びないと育ちません。
「ミズナラ」
秋にどんぐりがなる森の動物たちの大好物。
※昭和初期までは農家が使うため、終戦後はスキー場の管理のために草刈りが行われてきました。今はボランティアが草刈りを引き継いでいます。
訪れた時は新緑の時期でレンゲツツジが見頃を迎えていました。
高原エリア周辺の鳥瞰図です。
ツツジのコースを辿って関東富士見百景地点まで登ってみました。
ここからは富士山が見えます。
乙女高原ロッジ付近からは「ツツジのコース」「草原のコース」「森のコース」があります。
ツツジのコース下が駐車場になっているので、そこに車を停め、ツツジのコース→森のコース→ロッジ前→道路を歩く→駐車場という感じで散策すると良いと思います。
「ロッジ」
自然に包まれた場所にあるロッジで、休憩できるベンチ・テーブルがありました。
目の前には高原の風景が広がります。
ロッジの隣にはバイオトイレがありました。
環境に配慮したトイレでした。
新緑の高原の風景です。
遠くの木陰にレンゲツツジが群生していました。
他の高原などでは日当たりの良い場所にレンゲツツジが咲いていますが、乙女高原は日陰になる場所に咲いているのが特徴です。
新緑の白樺林の陰に咲くレンゲツツジ。
白樺の種類の中で「シラカバ」「ヤエガワカンバ」が並んでいます。
遊歩道を歩いていると、黒い網に囲まれた場所があります。
この網は韮崎市の甘利山にもあって何だろう?と不思議に思っていました。
網で保護された場所と、保護されていない場所で、植生にどのような変化が見られるかを調査しているようです。
山梨県では特に鹿の被害についての研究を調べています。
遊歩道のツツジコースからの眺めです。
木に囲まれた斜面。
レンゲツツジが驚くほどに群生しています。
これくらいの密度のレンゲツツジはなかなか見ることができません。
背の高いレンゲツツジがありました。
6月中旬が見頃と言われていますが、訪問した時は6月初めには五分咲きになっていてました。
花の時期が全体的に早くて驚きました。
花は年によって咲くタイミングが大きく違うこともあるので、開花状況を調べてから訪問した方が良いですね。
レンゲツツジの斜面の横の遊歩道を登っています。
新緑のブナ越しにレンゲツツジが見えました。
レンゲツツジコースを登りきったところです。
下に歩いてきた遊歩道が見えます。
遊歩道の雰囲気はこのようになっています。
新緑の爽やかな空気の中、森林浴を楽しみながら散策できます。
深い森を抜けると富士山の展望スポット(富士見百景)になります。
真北から真南を見る形になるので、富士山を見る場合は、午前中の早い時間帯、夕方が良いでしょう。(日中は逆光なので見難くなります)
深い森を抜けると眺望のよい稜線に出て、空が広がります。
富士山が見えて感動しました。
この日はモヤっていて、うっすらとした富士山しか見えませんでした。
展望スポットにある看板です。
ここから見える山の名前が記載されています。
ここにはベンチがあり、ハイキングで疲れた体を休めることができます。
富士山を眺めながらゆっくりしたひと時を過ごすことができます。
乙女高原は標高約1,700m。秩父山地の山懐に位置し、この地には、折々の花が咲き誇り、亜高山帯特有の美しい景観が広がっています。
山梨県自然環境保全地区、森林文化の森にも指定され多くの人々の協力によって保全されています。
「乙女高原から見える山々」
(山梨百名山)
黒岳・釈迦ケ岳・節刀ヶ
岳・王岳・兜山・滝戸岳・三方分山・竜
ヶ岳
(その他)
毛無山・蛾ヶ岳・鬼ヶ岳・破風山・新道峠・雨ヶ岳
新緑の山々の連なりの向こうにそびえる富士山。
富士山を真北方向から眺めています。
この時は右から左(西から東)に雲が流れていました。
遠くに甲府盆地が見えます。
条件がよいと雲海も見ることができるようです。
富士山の展望スポットから少し上に行くと、ヨモギの頭(山頂)です。
標高は1,725m。
ここは眺望は全くありません。
御料局三角点の印があります。
乙女高原の森林は明治時代に宮内庁の所有となっていました。
乙女高原の自然や花の紹介
乙女高原は標高約1,700mの亜高山帯にあり、五月中旬の芽吹きの新緑の頃から秋の紅葉の時期まで、四季の変化が美しい高原です。
特にレンゲツツジの咲く6月中旬から初夏までの花期には、オオバギボウシ・キンバイソウ・クガイソウ・ヤナギラン・マツムシソウ等をはじめ、貴重な数多くの植物が咲き乱れ美しい様相を呈します。
「乙女高原の花暦」
下記のような花々が見られます。画像を大きくしてみるとそれぞれの花の咲く季節がわかります。
・キジムシロ(バラ科)
・シモツケ(バラ科)
・マツムシソウ(マツムシソウ
科)
・キンバイソウ(キンボウケ科)
・ヤマオタマキ(キンボウケ科)
・タチフウロ(フウロソウ科)
・クガイソウ(ゴマノハグサ科)
・ヤナギラン(アカバナ科)
・ヨツバヒヨドリ(キク科)
・オミナエシ(オミナエシ科)
・アヤメ(アヤメ科)
小川が流れる湿地帯に咲いていた九輪草。
「ツツジのコース」スタート地点の駐車場から左側の方向です。
レンゲツツジに包まれているシラカバ。
木々に囲まれた日陰になりやすい場所にたくさんのレンゲツツジがあります。
シラカバとズミ。
緑の中にある白い花が目に留まります。
山梨県の標高1,500m付近の高原ではズミを多く見かけます。
標高の高いところに自生している植物です。
「森林文化の森・乙女高原の森」
乙女高原は広大で、今回紹介するレンゲツツジの咲くスキー場跡はごく一部です。
「森林まなびゾーン」「眺望ゾーン」「緑のダムゾーン」という3つのゾーンにわかれています。
標高の一番高い場所は山梨百名山に選定されている「小楢山」で1,713mになります。
この森は、地域の自然や歴史・文化を生かしながら、レンゲツツジや山野草と触れ合えるように整備されています。
自然をできるだけいい状態で次の世代に譲り渡せるように守り育てていく活動を行っています。
(乙女高原の概要)
面積:760ha
標高:1,450〜1,789m
サクラスミレ、レンゲツツジ、高原の花が咲き乱れる。
ブナ、ミズナラを主とした広葉樹、カラマツ等の針葉樹が広がる。
乙女高原のレンゲツツジはスキー場の跡地にあるので、下から群生を見上げることができます。
密度が濃いので高原の斜面に広がる赤い絨毯は見事でした。
「雁坂みち」から登って行きましたが道も良く、それほど長い距離には感じませんでした。1,700m近い標高なのでもう少し大変かと思っていましたが・・・
乙女高原のレンゲツツジの開花情報(リアルタイム)はネット上では少なく、実際に行ってみるまで状況がわかりませんでした。
レンゲツツジで有名な韮崎市の甘利山と標高が一緒なので、甘利山に行った帰りにここに寄ってみました。
乙女高原のレンゲツツジの情報が無い場合は、twitterで甘利山のレンゲツツジの状況を見て参考にすると良いです。
今回はロケハンでしたが、天候・開花状況などを考えて条件の良い時に再度挑戦したいと思いました。
青空の爽快な感じも良いですし、霧が出るようなしっとりとした感じも良いと思います。
高原付近には店や自動販売機が無いので、食べ物・飲み物は準備して行ったほうが良いです。