信州・高山村「紅葉」撮影ガイド。〜錦に染まる「日本で最も美しい村」の秋

Camera : NIKON D90

長野県上高井郡高山村は長野県の北東部に位置する山村で「日本で最も美しい村」連合に加盟している。村の面積の8割以上が森林で植生が豊か。
1,900mから900mの標高差があり、牧場、滝、渓谷、山と被写体の種類も様々で、標高ごとに趣の異なった紅葉の絶景を味わうことができる。

今回は谷深い松川渓谷に沿って志賀高原側から山田温泉に通じる県道66号線と日本離れした風景が広がる毛無峠から村内に下る県道112号線の2ルートの紅葉を巡る。
紅葉で有名な志賀高原と隣接しているので、志賀高原と一緒に巡ると良いであろう。


紅葉鮮やかな山田牧場と北アルプス

[ ミニチュア ]  山田牧場を俯瞰すると紅葉した樹木が模型のように見えます。眼下に広がる善光寺平、遠くには北アルプス。
Camera : NIKON D90

志賀高原を走る国道292号線の前山サマーリフト(熊の湯)付近から笠ヶ岳を通り、高山村の山田温泉へと通じる県道66号(豊野南志賀公園線)は紅葉がぎっしり詰まったルートである。笠ヶ岳付近は標高が1,800m。ここからの眺望は素晴らしく、道路から絶景が広がる。

山田牧場は笠ヶ岳の南麓に広がる広大な牧場で、標高は約1,500〜1,800m。冬季はスキー場(YAMABOKUワイルドスノーパーク)になる。
空気の澄んだ秋は遠くまで眺望が良く、北アルプスが屏風のように見え、眼下に広がる善光寺平には雲が浮く。ここからは善光寺平を埋め尽くす雲海、煌びやかな夜景が見える。
山田牧場周辺は針葉樹と広葉樹のバランスが良く、針葉樹の程良い緑が赤や黄色の木々を引き立てる。

牧場沿いの道路からの眺望。

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Camera : NIKON D90 | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

左から右にかけて300mほどの高低差のある斜面は植生が豊かで、緑・黄色・赤のバランスがとても良い。晴れた日には空や雲を入れたパノラマ写真が撮れる。

牧場沿いの道路の紅葉。

[ 右へどうぞ ]  標識と紅葉も絵になります

道路の両側も紅葉一色。黄色や赤の木々が続いており、私たちの目を楽しませてくれる。
300mの標高差の中にいろいろな被写体があり、牧場内の道路に車を停めて写真を撮ることができる。

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Camera : NIKON D70s | レンズ焦点距離 : 46mm(APS-C : 31mm)

赤い紅葉・カエデも多数あり、アップ写真を狙うこともできる。
逆光・斜光の中、透けた葉が美しい。

紅葉のグラデーション。

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Camera : NIKON D90 | レンズ焦点距離 : 72mm(APS-C : 48mm)

広葉樹・針葉樹が適度に織り混ざっており、自然の創り出す色彩美を楽しめ、バリエーション豊かな写真が撮れる。

サンセット写真。

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Camera : NIKON D90 | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

秋のひとときの温かさが伝わるような写真。
光輝く中、広大な風景を俯瞰しながら紅葉を満喫できる。
2000年にはサンセットポイント百選に選ばれ、夕暮れの撮影スポットとしても知られている。

西日を受けた山田牧場の紅葉。

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Camera : NIKON D90 | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

牧場から山の斜面一面が紅葉に染まっている。牧場の中には木が点在しており、主役となる印象的な木を探すのも楽しい。

オレンジに染まる山田牧場。

[ 夕暮れの山田牧場 ]  眩しい西日で牧場の紅葉が輝いていました。山田牧場はサンセットスポットで夕方の撮影もおすすめです。
Camera : NIKON D90

夕日により紅葉が赤く染まり、逆光の中、画面全体がオレンジの空気感に包まれる。

山田牧場の詳細へ

松川渓谷【七味温泉】

[ 信州 高山村 錦秋 ]
Camera : NIKON D7000

山田牧場から県道66号線を下っていくと、松川渓谷沿いを走るようになる。この付近は標高1,300mで、深い谷から山の稜線まで見事な紅葉に染まる。
時間帯により斜面への光の当たり方が変わるので、その時々の表情を楽しむことができる。

深い谷に浮かぶ紅葉島。

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Camera : NIKON D90

山の斜面の影の中、色鮮やかな紅葉がまるで島のように浮かび上がり、険しい地形を生かした紅葉写真が狙える場所。
七味温泉からは遊歩道があり、紅葉を楽しみながら七味大滝を散策することができる。

松川渓谷【雷滝】

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Camera : NIKON D70s | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

標高1,100mにある「雷滝」は別名「裏見の滝」と言われ、滝の裏側を歩くことができる。これだけの豪快な水量と轟を間近で感じることのできる滝はそうは無い。
秋の紅葉の時期は観光スポットとしても大人気でバスツアーも多く訪れる。
滝の裏側からみる頭上の岩、その向こうに広がる黄色の紅葉は絵画のよう。

秋錦の雷滝。

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Camera : NIKON D70s | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

岩のドームに包まれている感じが凄い。岩盤の下を通り、滝の轟音を感じながら逆側まで行くことができ、滝の奥には大きな断層が見え、松川渓谷の険しさを感じることができる。

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Camera : NIKON D90

松川渓谷は分水嶺となる標高2,000mの山々である横手山・万座・山田峠などから水が流れ込み、深いV字谷が作られた。
雷滝では写真のように長い年月をかけて削られた岩を近くで見ることができる。

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Camera : NIKON D70s | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

岩盤の迫力を生かしたフレームで滝と紅葉を撮影。
秋は光があまり入らないので、スローシャッターを使えば、優美な滝の写真になる。

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Camera : NIKON D70s | レンズ焦点距離 : 27mm(APS-C : 18mm)

遊歩道と滝の距離が近く、広角レンズを使わないと全体が入らない。
滝と岩と紅葉のバランスが良い。シャッタースピードによって水の表情が変わる。

雷滝の詳細へ

松川渓谷【八滝】

[ 松川渓谷 八滝 ]  谷深いV字谷が錦の彩りに包まれます。霧が発生すると幻想的になります。
Camera : NIKON D800E

八滝は高さ180mの巨瀑。八つの滝壺があることから、「八滝」と呼ばれている。対岸の滝のある険しい斜面は標高1,000〜1,300m。

上部に空の空間を少し入れることにより、八滝のスケール感がよりよく伝わる。
紅葉の彩りの中に緑が点在し、立体感にある写真になる。

八滝の展望台。

[ 八滝 観瀑台 ]  駐車場のすぐ側にあります

駐車場の前に展望台が設けられてあり、ここから八滝を一望できる。
八滝の上から徐々に紅葉が降りてきて、最後にこの展望台付近の木々が色づく。
ここでは前景に紅葉した植物を入れ、八滝と組み合わせた構図を狙える。

[ ひとすじの流れ ]  秋雨が降り出しそうな曇り空で撮影。晴天の場合は逆光になるので日中より朝夕がよいかも。
Camera : NIKON D800E

八滝は展望台から松川渓谷を挟み反対側に位置するため、近くに行くことはできないが、紅葉の中の上品な流れは一見の価値有り。
前出の雷滝とは全く違った風情を味わうことができる。
滝の左側の緑と右側の紅葉の対比がとても美しい。

快晴の日の八滝。

[ 紅葉の八滝 ]  前方の山に滝が見えます

北側の斜面にあるため、日差しの強い日は陰影が激しすぎて滝の周辺が暗くなってしまう。晴れた日は朝・夕の撮影が良いであろう。

闇に浮かぶ紅葉。

[ 八滝紅葉 ]  滝の周りの紅葉が綺麗です

日差しが強い時は、陰影の激しさを利用して、黒バックに浮かび上がる紅葉を狙うことができる。

松川渓谷 八滝の詳細へ

松川渓谷【高井橋】

[ 松川渓谷 錦秋 ]  松川渓谷の入り口、谷深いV字谷に架かる紅い橋。秋の定番撮影ポイント
Camera : NIKON D800E

紅葉の中に浮かぶ赤い橋は松川渓谷・山田温泉入り口の「高井橋」。
この付近は標高900m。
紅葉の色彩の中、赤い橋がとても印象的でポスターなどでよく使われる構図。

対岸に架かる「山田橋」「もみじ橋」から撮影することができ、紅葉の時期は「高井橋」周辺に駐車場が設けられていた。

この橋のたもとには舞の道遊歩道の入り口があり、薬師堂まで1.3kmの散策を楽しめる。途中には数奇屋造りの門や庵があり、情緒ある渓谷を味わいながら散策してみるのも良いであろう。

毛無峠

[ 紅葉の信州 高山村 ]  巨大な岩山、複雑な地形、植生の境界線、ダケカンバの原生林。日本離れした光景が広がります。
Camera : NIKON D7000

毛無峠一帯は標高1,000〜1,900m付近にあり、独特の植生の日本離れした風景に出会うことができる場所で、とても景観が豊か。

毛無峠に行くには、高山村から県道112号線で上っていくか、志賀高原を通る国道292号線で万座温泉に出て、そこから毛無峠へ向かうという、ふた通りのアクセス方法がある。

県道112号線(大前須坂線)は長野県高山村と群馬県嬬恋村の境の標高約1,800mで行き止まりになっている。

毛無という名前が意味するように、峠付近は風が強く、荒涼とした風景がひろがる。峠付近からの眺望は、険しい山の斜面と一面に広がる紅葉の絨毯になっている。
人が少なく、ゆっくりと撮影を楽しめるスポットになっている。

ここからは、毛無峠から県道112号線を山田温泉方面に下るルートで紅葉スポットを紹介。

毛無峠の最上部付近。

[ 破風岳 ]
Camera : NIKON D90

斜面はなだらかだが、ここは風が強く、植生がほとんどない。
雲が斜面に影を作り、刻々と景色が変わっていく。

谷を走る紅葉。

[  ]
Camera : NIKON D90

少し標高が下がると植生豊かになり、一面紅葉の絨毯に覆われる。
手前は黄金一色、奥は赤が多くなっており、紅葉の中に大きな岩があるのが面白い場所。
険しい谷ならではの美しい紅葉になっている。

万座峠の奇岩。

[  ]
Camera : NIKON D90

長い年月によって風化した岩が、山の斜面の所々に見受けられる。
霧が出た時には幻想的な写真を撮ることができるであろう。

七味温泉の俯瞰。

[ 信州 高山村 錦秋 ]  朝陽で輝く紅葉。谷を秋色に彩る樹木。
Camera : NIKON D7000

紅葉を撮影するにはこの場所が一番面白いと思う。
谷の陰影と紅葉を生かした写真を撮ることができる。

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Camera : NIKON D90

県道112号線(万座道路)を下ると一面カラマツの林になる。
この一帯はカラマツが植林されており、黄金の世界が広がる。

爽快な空と黄金色に光るカラマツ林。

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Camera : NIKON D90

県道112号線(万座道路・上信スカイライン)はドライブにも最適で、約1ヶ月間、紅葉を楽しめる。

毛無峠の詳細へ

高山村は万座峠(標高2,000m)から山田温泉(標高900m)という標高差があるので、1ヶ月間紅葉を楽しむことができ、例年だと10月5日頃に標高2,000m付近で紅葉が始まり、10月25日頃に標高900mまで紅葉が降りてくる。

県道66号(山田温泉〜雷滝〜八滝〜山田牧場〜志賀高原)と県道112号(毛無峠)の2つの道路を走れば高山村の紅葉を満喫でき、紅葉・雲海で有名な渋峠からは、
渋峠→万座温泉→毛無峠→山田温泉→雷滝→八滝→山田牧場→志賀高原(熊の湯)→横手山→渋峠というルートで周回できる。

標高ごとに趣の違う紅葉を楽しみながら高山村・志賀高原を巡ってみてはいかがでしょうか?

撮影スポット詳細

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